「共有者と縁を切りたい」──兄弟共有の一戸建て、持分2分の1だけの買取事例
神奈川県相模原市で仲の悪い兄弟が共有する一戸建ての持分を買取した事例。弟の持分を買い取った後、第三者として兄と今後の方針を話し合い、賃貸契約で住み続ける形で円満に解決。当事者同士では難しい共有名義の問題も、第三者が入ることで解決に導きます。
2026年1月10日
物件概要
- 所在地: 神奈川県相模原市
- 建物種別: 一戸建て
- 権利関係: 兄弟2人で1/2ずつの共有名義
- アクセス: 小田急相模原駅から徒歩約10分の住宅街
※本記事は、2026年6月に実施したホームワーク社への追加取材をもとに内容を拡充しています。
「共有持分、買い取ります」という広告を、不思議に思ったことはないでしょうか。じつは筆者も長く不動産業界にいながら、他人と共有になった権利の「半分だけ」を買い取って、どう商売が成り立つのかが腑に落ちていませんでした。本件を取り扱ったホームワーク社への取材で見えてきたのは、 「値段は安くてもいいから、とにかく引き取ってほしい」という売り手が確かに存在する という事実です。
お客様の状況
この家は兄弟2人で半分ずつ持っている共有名義になっていて、弟さんから自分の持分を買ってほしいというご相談がありました。
共有名義の問題
結婚して自分の家を買ったり、親から相続したりと、一つの不動産を複数の人で共有することはよくあります。兄弟や親戚同士で仲が良い間は問題ありませんが、 関係が悪くなってしまうと、お互いにとって悩みの種 になってしまうことがあります。
民法では、共有者はいつでも共有物の分割を請求できると定められています(民法第256条)。しかし、不動産の場合は簡単に物理的に分けられないため、話し合いがまとまらなければ裁判(共有物分割請求訴訟)に発展することもあります。
弟さんの状況
相談者の弟さんは、お兄さんとは仲が悪くなっていました。親が住んでいた実家を相続したのですが、お兄さんとは以前から折り合いが悪く、相続後も全く連絡を取っていない状態でした。お兄さんは今もその家に住んでいるものの、共有名義であるにもかかわらず、弟さんとは何も話そうとしない状況が続いていました。
対応内容
まずは話し合いをお勧め
ホームワーク社としては、このような状況で弟さんの持分だけを買うこともできますが、どうしても通常の不動産売買よりも買取価格は安くなってしまいます。
そのため、まずはご兄弟で連絡を取り合って:
- お兄さんに弟さんの持分を買い取ってもらう
- お兄さんから弟さんに家賃を払ってもらう
- 一緒に家全体を売却する
など、お互いに納得できる解決方法を話し合ってみることをお勧めしました。
弟さんの強い希望
しかし、弟さんは「兄とは絶対に話したくないし、顔も見たくない。値段は安くてもいいから、すぐに買い取ってほしい。売買が終わった後に、兄と話してほしい」という強い希望を持っていました。
追加取材でホームワーク社が振り返った弟さんの言葉は、さらに生々しいものでした。 「損をするのは分かっている。それでも、話すだけで嫌な気持ちになる。かといって、あげるのも癪だ」 。そして「買った後に御社が何をしようと自由だから、とにかく黙って買ってほしい」と。金額の多寡ではなく、共有関係そのものから抜け出すことが目的だったのです。
そのため、相場よりは安い価格になってしまいましたが、弟さんのご要望に応えて、ホームワーク社がその持分を買い取らせていただきました。
結果
ホームワーク社が買い取った後、お兄さんのところへ行き、今後のことについて話し合った結果、当面は お兄さんがホームワーク社との共有名義という形で住み続け、その代わりに相場よりも少し安い家賃を毎月支払っていただく ことになりました。
買取から 約4年が経過した現在も 、お兄さんはこの家に住み続けています。
弟さんもお兄さんも、直接話し合うことができない状況でしたが、 第三者であるホームワーク社が間に入ることで、お二人とも円満に取引を終える ことができました。
追加取材で聞いた、買い手側の見立て
ここからは、2026年6月に筆者がホームワーク社へあらためて取材した内容です。「なぜ半分だけの権利を買えるのか」という、冒頭の疑問への答えでもあります。
持分だけを買っても、住めるわけではない
持分を買った買主が、その家に住めるわけではありません。個人が買っても使い道がなく、 銀行も共有持分の購入にはまず融資をつけない といいます。つまり現金で買い切れる資金力が前提になり、その時点で買い手は大きく絞られます。共有持分は「どの業者でも買える」ものではないのです。
買う前に、出口を複数描いておく
では買った業者はどうするのか。ホームワーク社が本件を引き受けたとき、描いていた出口は一つではありませんでした。お兄さんと協力して一棟の家として一緒に売却する。あるいは、お互いの持分を売買してどちらかに所有権をまとめる。どうしてもまとまらなければ、住んでいるお兄さんに家賃を求める——。
一棟の家としての価値を土台に据えたうえで、どのシナリオに転んでも大きな損にならない価格を見極めて買い取る。事前に弁護士へ相談し、最悪の場合でも共有者へ家賃の請求が可能なことを確認したうえでの判断だったそうです。
言い換えると、共有持分の買取とは「安く買い叩く」商売ではなく、 当事者同士では動かせなくなった権利関係を、時間と交渉を引き受けてほどく 仕事です。この出口設計と交渉の引き受け手がいるからこそ、「話したくない相手との共有」から抜け出す道が成立します。
裁判で解決できないのか
「話し合いが無理なら裁判では」と考える方も多いはずです。ただ、取材で印象的だったのは、 「家のように、半分に切ったら使えないものは、話し合いで解決するしかない」 という現場の感覚でした。広い土地にアパートと戸建てが別々に建っているような不動産であれば、裁判所に線引きを決めてもらって現物で分ける余地があります。しかし一軒の戸建てはそうはいきません。訴訟という形を取っても、兄が住む家を巡って兄弟が法廷で向き合う構図になり、「顔も見たくない」という弟さんの希望とは正反対の道です。共有物分割請求の制度と持分価格の考え方は、共有持分の買取相場で詳しく解説しています。
取材で聞いた、共有持分を手放す人の本音
もう一つ、取材で腑に落ちた話があります。共有持分の売り手は「少しでも高く売りたい人」ばかりではない、ということです。ホームワーク社によれば、相談の動機はおおむね三つに分かれるといいます。
一つ目は、お金の問題ではなく、 共有者との縁を切りたい 人。二つ目は、事情があって 今すぐまとまった現金が必要 な人。そして三つ目は──今回の弟さんもそうでしたが── 相続で得た不動産のため、自分のお金で買ったものではない という人です。もともと自分の懐を痛めていない分、金額よりも「引き取ってもらえること」自体に価値を感じる。過去に払ったお金より、これから続く嫌な関係のほうが重い、ということなのだと思います。
共有持分を所有する方への実態調査でも、同じ傾向が確認されています。詳しくは全国11,199人調査が示す共有持分の実態をご覧ください。
この事例から学べること
ひとつ目は、「安くてもいいから手放したい」は決して不合理な判断ではないということ 。縁を切ること、早く現金化することに価値を見出すのは、実際に多くの共有者が抱える本音です。無理に高値を追って共有関係を長引かせるより、総合的に得な場合があります。
ふたつ目は、一戸建ての共有は裁判でもきれいには分けられないということ 。物理的に分割できない財産だからこそ、当事者間で膠着する前に、間に入れる第三者を探す選択肢を知っておく価値があります。
みっつ目は、共有持分を買える業者は限られるが、確かに存在するということ 。融資がつかず、出口設計の経験も必要なため、どの不動産会社でも扱えるわけではありません。「どこにも断られた」としても、それは物件に価値がないのではなく、買える業者に出会えていないだけかもしれません。
共有名義の不動産をお持ちの方へ
人間関係がうまくいっていない場合や、仲は良いけれど不動産の活用方法で意見が違う場合など、共有名義の不動産でお困りの際はホームワーク社が対応いたします。
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なないろ土地査定 パートナー企業について
| 社名 | ホームワーク株式会社 |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 橋本 泰 |
| 免許番号 | 東京都知事(2)第100965号 |
| 設立 | 2017年7月 |
| 加盟団体 | 全日本不動産協会 / 不動産保証協会 / 東日本不動産流通機構 |
よくある質問
- Q. 共有持分だけでも買い取ってもらえますか?
- A. はい、共有持分のみの買取も可能です。ただし通常の不動産売買より買取価格は安くなるため、まずは共有者同士での話し合いをお勧めしています。話し合いが難しい場合は持分のみの買取にも対応します。
- Q. 共有者と仲が悪く連絡が取れない場合でも売却できますか?
- A. はい、対応可能です。ホームワーク社が第三者として間に入り、買取後に他の共有者と今後の方針を話し合います。実際に兄弟間で全く連絡が取れない状況でも、円満に取引を完了させた事例があります。
- Q. 共有持分の売却後、もう一方の共有者はどうなりますか?
- A. ホームワーク社が新しい共有者として、住み続けたい方には相場より少し安い家賃で賃貸するなど、柔軟な対応を行います。第三者が間に入ることで、当事者同士では難しかった話し合いがまとまるケースがあります。