共有持分の買取価格はいくら?相場と高く売るコツ
この記事でわかること
Q. 共有持分の買取価格の相場はいくらですか?
Q. なぜ持分相当額より安くなるのですか?
Q. 共有持分を高く売るコツはありますか?
共有持分の買取価格の相場
共有持分を売却する場合、気になるのが「いくらで売れるのか」です。民法第206条により、各共有者は自分の持分を自由に処分(売却・贈与等)できるため、他の共有者の同意なく売却が可能です。共有持分の売却方法については「共有持分だけ売却できる?」もご覧ください。
結論から言うと、共有持分の買取価格は 持分相当額の50〜70%程度 になるのが一般的です。
計算例
たとえば、不動産全体の評価額が4,000万円で、自分の持分が1/4の場合を見てみましょう。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 持分相当額 | 4,000万円 × 1/4 | 1,000万円 |
| 買取価格(50〜70%) | 1,000万円 × 50〜70% | 500〜700万円 |
持分相当額の1,000万円が満額で受け取れるわけではなく、後述する各種リスクを考慮して500〜700万円程度が現実的な売却価格となります。

なぜ持分相当額より安くなるのか
共有持分の買取価格が持分相当額より低くなるのは、共有不動産特有の法的制約とリスクが原因です。
1. 単独で自由に使えない
共有持分を購入しても、不動産を単独で自由に使用・活用することには民法上の制限があります。
- 使用(居住) — 各共有者は持分に応じた使用が認められますが(民法第249条)、実際には他の共有者との協議が必要です
- 管理行為(賃貸に出す等) — 共有者の持分の過半数で決定します(民法第252条)
- 変更行為(建替え・全体売却等) — 共有者 全員の同意 が必要です(民法第251条)
このように、持分を購入しても自由度が大きく制限されるため、その分が価格に反映されます。
2. 他の共有者との関係リスク
購入後、他の共有者と使用方法の協議、管理費用・固定資産税の負担調整、将来的な権利関係の整理など、継続的な交渉が必要になります。共有者間の関係が悪い場合は、交渉が難航するリスクもあります。
3. 流動性が低い
共有持分だけを購入したい一般の買主はほぼいません。売却先は実質的に他の共有者か専門の買取業者に限られるため、再売却も難しく、流動性の低さが価格を押し下げます。
4. 権利関係の整理コスト
買取業者は購入後に、他の共有者への買取交渉、 共有物分割請求 (民法第258条に基づき裁判所に分割を請求できる制度)の検討、賃料相当額の請求といった対応を行う必要があります。これらの交渉・法的手続きにかかるコストとリスクが、買取価格に反映されます。
売却先による価格の違い
共有持分の売却先によって、価格は大きく異なります。
| 売却先 | 価格の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 他の共有者 | 持分相当額の70〜100% | 最も高い可能性 |
| 一般の買主 | ほぼ不可能 | 買い手がいない |
| 買取業者 | 持分相当額の50〜70% | 確実に売却可能 |
他の共有者への売却が最も高い理由
他の共有者にとっては、持分を買い増すことで自分の持分割合が増え、管理行為の過半数確保や将来的な全体取得が可能になります。共有者は既にその不動産を知っているため、第三者にとってのリスク(共有者との関係、物件の状態の不確実性等)がなく、持分相当額に近い価格を提示できる可能性があります。
実際に、兄弟間で共有名義のトラブルが生じたケースでは、第三者が持分を買い取った上で他の共有者と話し合い、賃貸契約という形で円満に解決しています。
価格に影響する要因
同じ共有持分でも、以下の要因によって価格は変動します。
プラス要因(価格が上がる)
- 立地が良い — 都心・駅近・人気エリアの不動産は全体の評価額が高いため、持分の価格も上がります
- 持分割合が大きい — 1/2以上なら管理行為の過半数を単独で確保でき(民法第252条)、買い手にとって有利です
- 共有者が少ない — 2人共有なら交渉相手が1人で済み、権利関係の整理がしやすくなります
- 共有者との関係が良好 — 将来的な全体売却や活用で協力が見込めます
- 不動産の状態が良い — 建物が新しく管理状態が良ければ、活用の選択肢が広がります
マイナス要因(価格が下がる)
- 立地が悪い — 郊外・駅から遠い不動産は全体の評価額自体が低くなります
- 持分割合が小さい — 1/10など極端に小さい持分は活用の余地が乏しく、大幅に下がります
- 共有者が多い — 5人以上の共有では全員の同意を得ることが極めて困難で、変更行為(建替え・全体売却)のハードルが上がります
- 共有者との関係が悪い — 対立している、連絡が取れない場合は権利関係の整理に法的手続き(共有物分割請求等)が必要になり、コストが増します
- 不動産の状態が悪い — 老朽化や管理不全の物件は活用の選択肢が限られます
高く売るためのコツ
1. 複数の業者に査定を依頼する
買取業者によって査定額は大きく異なります。共有持分の取扱い実績がある業者を中心に、最低でも3社以上から見積もりを取りましょう。見積もりは無料のところが多いため、決済時期や手数料の有無など条件面も合わせて比較してください。
2. まずは他の共有者に打診する
前述のとおり、他の共有者への売却は最も高い価格が期待できます。関係が悪くなければ、買取業者に相談する前にまず共有者に打診してみましょう。
3. 書類を揃えておく
スムーズに査定を進めるため、登記簿謄本(登記事項証明書)、固定資産税納税通知書、公図・測量図(あれば)、建物の図面(あれば)を事前に揃えておきましょう。登記簿謄本は法務局の窓口またはオンラインで取得できます。
4. 複数社の見積もりを材料に交渉する
最初の査定額は交渉の余地がある場合もあります。他社の見積もりを材料に価格交渉をすることで、数%〜数十万円の上乗せが実現するケースもあります。
5. 時期を見極める
不動産市況が良い時期の方が高く売れる可能性があります。ただし、共有状態を続けることにも固定資産税の負担や管理費用といったコストがかかるため、ずるずると先延ばしにするのは得策ではありません。
査定から売却までの流れ
- 複数社に査定依頼(1〜2週間)
- 査定結果の比較(数日)
- 業者の選定・交渉(1週間程度)
- 売買契約締結(1日)
- 決済・登記変更(2週間〜1ヶ月)
最短で1ヶ月程度で売却完了することも可能です。
まとめ
共有持分の買取価格は、持分相当額の50〜70%程度が相場です。価格が下がるのは、民法上の利用制限(第249条〜第252条)や流動性の低さ、権利関係の整理コストが原因です。
高く売るためには、まず他の共有者への打診を検討し、それが難しければ複数の買取業者から見積もりを取って比較・交渉することが重要です。共有状態の長期化は固定資産税や管理費用の負担が続くため、早めの判断をおすすめします。
具体的なトラブル解決事例は「共有名義の不動産トラブル事例」、相続で共有になった実家の売却についても解説しています。共有持分の基本的な仕組みや売却の全体像は「共有持分の売却・買取について」をご覧ください。


