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「土壌汚染」が出た城東エリア土地の買取事例——35〜36坪で対策費600万円

城東エリアで仕入れた35〜36坪の土地が、買主側の独自調査で土壌汚染と判明。土の全面入れ替えで約600万円の対策費用が発生したものの、仕入れ時に瑕疵担保を付けていたことでホームワーク社がほぼ全額回収できた事例です。墨田区役所が把握する埋立履歴、調査の連鎖的な膨らみ、自然由来汚染の責任論まで整理しました。

2026年6月8日

土壌汚染 埋立履歴 契約不適合責任
「土壌汚染」が出た城東エリア土地の買取事例——35〜36坪で対策費600万円

概要

土地の売却で、解体や測量とは別の角度から問題になることがあります。 土壌汚染 です。

地中の汚染物質が基準値を超えると、対策費用が数百万円規模に膨らみます。しかも、調査の進め方そのものに独特の難しさがあります。

今回ご紹介するのは、東京の城東エリアで実際にあった土壌汚染の事例と、調査の構造的な難しさについての話です。ホームワーク社にお話を伺いました。

物件概要

  • 所在地: 東京都 城東エリア(墨田区周辺)
  • 物件種別: 土地(買取再販案件)
  • 敷地面積: 約35〜36坪
  • 発覚経緯: 買主による引き渡し後の独自土壌調査
  • 対策費用: 約600万円(土の全面入れ替え)
  • 求償結果: 仕入れ時の瑕疵担保によりほぼ全額回収

城東・城北エリアと埋立の歴史

まず、土壌汚染がなぜこの地域で話題になりやすいのか。背景には 埋立の歴史 があります。

ホームワーク社の説明によれば、城東・城北エリアには、過去に 千葉方面から運ばれた土壌で埋立てられた 地域があるそうです。土壌調査をすると比較的悪いデータが出る傾向があり、墨田区役所に問い合わせると「この辺はそういう悪い土を持ってきて埋立をしているので、調べると比較的悪いですよ」と教えてくれることもあるといいます。

ここで注目したいのは、 役所側がこの事実を把握している という点です。一般の売主からすると意外かもしれませんが、自治体は自分たちの地域の地下事情を一定程度把握しています。

ただし、役所が把握しているからといって、自動的に売主や買主に告知されるわけではありません。 問い合わせて初めて教えてもらえる情報 です。だからこそ、地域特性に詳しい買主が独自に調査して、後から問題が発覚するケースが起こります。

なぜ千葉方面の土壌が懸念されるのか

ホームワーク社の発言の裏付けとして、千葉県の地質的な事情を補足しておきます。

千葉県は地下水・土壌中の 砒素(ヒ素)濃度が比較的高い地域 として知られています。これは下総層群・上総層群といった海成堆積層に由来する 自然由来の砒素 が原因とされています。千葉県の資料でも、沖積層に含まれる有機物が還元的な環境を作り出し、地下水中の砒素濃度を高める一因になっていることが報告されています(参考: 千葉県「地下水砒素濃度分布図」)。

ホームワーク社の話していた「千葉の土が悪い」という表現の正確な裏付けまでは取れませんでしたが、千葉県エリアの土壌が砒素を含みやすいという地質的特性は、土壌汚染の専門家の間では知られた事実です。

規模が小さければ調査義務はないが

ここで重要なポイントがあります。

通常の戸建て規模の取引では、土壌調査は法的な義務ではありません。

土壌汚染対策法による調査義務が発生するのは、 有害物質使用特定施設の廃止時(同法第3条) 、または 3,000㎡以上の土地の形質変更時(同法第4条。有害物質使用特定施設の現存地では900㎡以上) など、限られたケースに限られます(参考: 環境省「土壌汚染対策法の概要」)。一般的な住宅地の売買では、調査をせずに引き渡すことが普通に行われています。

ホームワーク社も、戸建て規模では調査義務がないため、わざわざ土壌調査までやって引き渡すというところまではしていなかったと話していました。これが落とし穴になります。

買主が独自に調査した結果

実際にあった事例です。

ホームワーク社が城東エリアの土地を仕入れ、通常通り土壌調査をせずに買主に引き渡しました。買主は地元の方で、その地域の土壌事情をよく知っていたといいます。

買主は引き渡し後、 自分で土壌調査を実施 しました。結果、 土壌汚染が確認 されたのです。

買主から事業者であるホームワーク社側に責任追及があり、対応せざるを得ませんでした。最終的に 土を全面入れ替え することになり、35〜36坪の敷地で 約600万円 の費用がかかりました。

ホームワーク社はこの土地を仕入れた時に 瑕疵担保 を付けていたため、元の所有者に求償することでほぼ全額を回収できたといいます。仕入れ時のリスクヘッジが機能した形です。

裏を返せば、もし瑕疵担保を付けていなければ、600万円を丸ごと被ることになっていたということです。土壌汚染の対策費用は、坪あたりで見ても無視できない金額になります。

土壌調査の構造的な難しさ

ここからが、土壌汚染問題の本当の難しさです。

土壌調査は「とりあえず一度調べれば終わり」ではありません。 範囲を特定するための連鎖的な調査 が必要になります。

ホームワーク社の説明を整理するとこうなります。

まず、 土地の中心部 を調査します。ここで汚染が検出された場合、汚染がどこまで広がっているかを特定する必要があります。

次に、 外側の地点 を調査します。外側で陰性が出れば、その範囲までは汚染が及んでいないことが分かります。陰性の地点が出るまで、 外側へ外側へと調査範囲を広げていく 必要があります。

外側で陰性が出たら、今度は逆方向です。陰性地点と汚染地点の間のどこに境界があるかを特定するため、 内側に絞り込む調査 を進めます。

調査1回あたり数十万円。これを汚染範囲が特定できるまで何度も繰り返す必要があります。

深さの問題も加わる

平面的な範囲特定だけではありません。 深さ方向の調査 も同様の構造になります。

とりあえず2メートルまで調査して、汚染が確認された。それなら3メートル、4メートルと深く掘っていく必要があります。

ホームワーク社の説明では、「面倒だから5メートルまで一気に掘って、そこで出なければ、次は出るところまで逆戻りして探していかなければいけない」というのが実態だといいます。

平面方向と深さ方向、両方を範囲特定していくため、調査費用は加速度的に膨らみます。

汚染が見つかった瞬間から、 調査だけで数百万円 になってもおかしくない構造です。

改良工事と再調査

範囲が特定できたら、ようやく改良工事に入ります。

改良の方法は、汚染物質の種類と範囲によって異なります。最も確実なのは、汚染された土壌を全て掘削して入れ替える方法。これが先ほどの事例で行われた「土の全面入れ替え」で、600万円の中身です。

改良工事が終わった後も、 仕事は終わりません 。改良後にもう一度全面的な土壌調査を行い、基準値を下回っていることを確認した上で、保証書を発行して買主に引き渡す。ここまで完了して、ようやく一件落着です。

売主側にも責任が及ぶ可能性

「自分は売る側だから、買主が後で調べたことに責任はない」とは言えません。

土壌汚染は、 契約不適合責任 ( 民法第562条〜第564条 )の対象になり得ます。買主から「通常使用において想定できない汚染があった」「告知すべき事実があった」と主張されれば、売主が対応を求められる可能性があります。

ただし、ここには重要な論点があります。 自然由来の土壌汚染 については、契約不適合責任の範囲をめぐって裁判例が分かれています。東京地裁の判決では、自然由来のヒ素汚染について、特約に基づく売主の費用負担義務を否定したケースもあります。一方で、現在の土壌汚染対策法では自然由来汚染も規制対象に含まれており、自然由来だからといって完全に責任が免除されるわけではありません。

地域の埋立履歴や地質特性を売主側が知っていた、あるいは知り得た場合、契約不適合責任が認められる可能性は残ります。

売主側の学び

土壌汚染リスクが懸念される地域で土地を売却する方が押さえておきたいポイントを整理します。

ひとつ目は、地域の埋立履歴を役所に確認すること 。城東・城北エリアをはじめ、過去に埋立が行われた地域では、自治体に問い合わせれば一定の情報が得られます。墨田区役所のように、地域の土壌事情について教えてくれる窓口があります。「自分の土地の地下はどうなっているのか」を把握しておくことが、後のトラブル回避につながります。

ふたつ目は、瑕疵担保や契約不適合責任の取り扱いを契約書で明確にすること 。土壌調査をしないで引き渡す場合、その点を契約書に明記し、後で問題が発覚した場合の責任分担を取り決めておく。買主側との合意があれば、リスクの線引きができます。

みっつ目は、買取業者選びでリスク許容度を見ること 。今回の事例のように、業者が瑕疵担保を付けて仕入れていれば、引き渡し後に土壌汚染が発覚しても元の売主への過度な負担はかかりません。仕入れ条件を含めて柔軟に対応できる業者を選ぶことが、売主の保護につながります。

よっつ目は、「調査義務がないから安心」とは限らないこと 。法的な調査義務がなくても、買主が独自に調査して問題が発覚すれば、契約不適合責任が問われる可能性があります。地域特性を踏まえて、必要な情報開示をしておくことが、結果的に売主自身を守ります。

いつつ目は、土壌調査は「やる」と決めたら最後まで覚悟が必要だということ 。一度調査を始めて汚染が見つかれば、範囲特定のために調査が連鎖的に膨らみます。35坪の土地で対策費用600万円という現実を踏まえ、調査するかしないかは業者と十分に相談した上で判断する必要があります。

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なないろ土地査定 パートナー企業について

社名 ホームワーク株式会社
代表者 代表取締役 橋本 泰
免許番号 東京都知事(2)第100965号
設立 2017年7月
加盟団体 全日本不動産協会 / 不動産保証協会 / 東日本不動産流通機構

よくある質問

Q. 一般的な戸建ての売買で土壌調査は義務ですか?
A. いいえ、通常の戸建て規模の取引では土壌調査は法的な義務ではありません。土壌汚染対策法による調査義務が発生するのは、一定規模以上の土地形質変更や有害物質使用特定施設の廃止など、限られたケースに限られます。
Q. 土壌汚染が見つかった場合、対策にどれくらい費用がかかりますか?
A. 今回の事例では35〜36坪の敷地で土を全面入れ替えするのに約600万円かかりました。また調査自体も1回数十万円かかり、汚染範囲が特定できるまで平面方向・深さ方向の両方で調査を繰り返す必要があるため、調査費だけで数百万円になることもあります。
Q. 城東・城北エリアの土壌汚染リスクはなぜ高いのですか?
A. 過去に千葉方面から運ばれた土壌で埋立てられた地域があり、この地域の土壌が砒素を含みやすい地質的特性を持つためです。墨田区役所など、自治体側がこの埋立履歴を把握しており、問い合わせれば情報提供を受けられることがあります。
Q. 自然由来の土壌汚染でも売主に責任が問われますか?
A. 自然由来汚染の契約不適合責任は裁判例が分かれており、東京地裁では特約に基づく売主の費用負担義務を否定した判決もあります。一方で、土壌汚染対策法では自然由来汚染も規制対象に含まれ、地域の埋立履歴や地質特性を売主が知っていた場合は責任が認められる余地が残ります。

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