「築60年古家」解体時に隣家のガス管が出てきた事例——北区田端の埋設配管トラブル
北区田端の築60年古家を建て替えるための解体中、家屋の真下に隣家のガス管が通っていることが発覚。本管からの引き直し費用約40万円・工事停止期間4〜5ヶ月を全額自社負担で吸収した事例から、築古物件の埋設配管リスクと契約不適合責任(民法562〜564条)の取り扱いまで、ホームワーク社の対応をもとに整理します。
2026年5月31日
概要
土地の売却で、売主も買主も予想できないトラブルがあります。 解体してみるまで分からない、地中の話 です。
今回ご紹介するのは、北区田端で築60年ほどの古家を建て替えようとした際、解体工事の途中で発覚した配管トラブルです。取り扱ったホームワーク社にお話を伺いました。
物件概要
- 所在地: 東京都北区田端
- 物件種別: 古家付き土地(建て替え前提の仕入れ案件)
- 築年: 昭和40年頃(築60年近く)
- 特殊事情: 家屋直下に隣家のガス管が貫通、当該家のガス管は隣家通路を経由
- 追加費用: 約40万円(ガス管引き直し費用)
- 工事停止: 約4〜5ヶ月
昭和40年代の家を建て替えるはずだった
物件は昭和40年頃に建てられた古家でした。築60年近く、当時の建築水準と現代では建物のつくりも周辺事情もまったく違います。
建て替えのために解体工事を始めたところ、思いがけない事実が出てきました。 裏の家のガス管が、今回解体している家の下を通っていた のです。
しかも、引き込み位置を辿っていくと不思議な構造になっていました。今回の物件のガス管は、隣家の通路を通って引き込まれている。一方、裏の家のガス管は、今回の物件の家屋直下を貫通している。
つまり、 お互いのガス管がお互いの敷地を通って引き込まれていた ということです。
なぜ図面で分からなかったか
ガス管の図面は公開されています。ただし、それは 本管(道路の下を通っている幹線)の位置を示すもの で、各家屋への引き込み経路までは記録されていません。
ホームワーク社も、事前に確認できる範囲では「当該地のガス管が隣家の通路に入っている」という認識でした。その引き込み図を見て、てっきり「裏の家のガス管はまた別のルートで引き込まれているのだろう」と思っていたといいます。
ところが解体してみると、その「別のルート」が 今回解体する家の真下 だったのです。
解体業者が手を止める
家の下にガス管が通っているとなると、解体業者は作業を続けられません。万が一ガス管を傷つければ、ガス漏れによる重大事故につながります。
「もうこれ以上は触れません」——解体業者が手を止めた時点で、現場は完全に止まりました。
東京ガスに連絡を入れたところ、 本管から新たに引き直し、裏の家のガス管も繋ぎ替える しかないという判断でした。工事費用は約 40万円 。
ホームワーク社はまず、裏の家の所有者に費用負担の打診をしたといいます。こちらの工事に合わせて一緒にガス管の引き直しを行い、費用の一部を負担してもらえないか、という申し入れです。
返ってきた答えは明確でした。今のままで使えているし費用も出せないので、現状のままで構わない——と。
法的に裏の家の所有者を強制できる立場ではありません。結局、ホームワーク社が全額を負担して引き直すことになりました。
工事が4〜5ヶ月止まった
費用以上に痛かったのが、 時間 です。
ガス管の引き直しは、東京ガスとの調整・道路使用許可・実際の工事と、いくつもの段取りが必要です。この間、現場は完全に止まっていました。
工事停止期間は 4〜5ヶ月 。事業計画では、この期間に建物が立ち上がり、販売準備に入っているはずでした。それが丸ごとずれ込みます。後工程を急ピッチで巻き返すしかありませんでしたが、本来不要だった負担です。
なぜこんな状態になったのか
ホームワーク社の見立てはこうでした。先にガス管が引かれ、その後で家が建てられた——という順序が、家屋直下を貫通するガス管という不思議な構造を生んだ、というのです。基礎工事中に大事故にならなかったのが、むしろ幸運だったとも言えます。
築60年ということは、建てられたのは昭和40年頃。当時のその一帯は 借地権 が多かった地域で、敷地の境界もかなり曖昧な状態で家がポンポンと建てられていたといいます。
当時の建築では、地中の配管位置を厳密に確認してから基礎を打つという習慣が、今ほど徹底されていなかったのかもしれません。
「掘ってみるまで分からない」が原則
ここから引き出される教訓は、シンプルですが重要です。
古い家の建て替えでは、地中の状況は掘ってみるまで分からない。
これはガス管に限った話ではありません。下水管、給水管、電気の引き込み線——あらゆる埋設物が、図面と違う経路で通っている可能性があります。
特に 築50年以上の家 、 借地権が多かった地域 、 長屋形式から戸建てに建て替えられた区画 では、こうしたリスクが現実のものとして出てきます。
ホームワーク社も「最近はあまり驚かない」と話していました。それくらい、現場では当たり前に出てくるトラブルだということです。
売主側にも影響がある
「自分は売る側だから関係ない」と思われるかもしれませんが、そうとも限りません。
買主が解体・建て替えを前提に購入した場合、解体時に発覚した重大な埋設物トラブルが 売主の契約不適合責任 ( 民法第562条〜第564条 。改正民法施行前の「瑕疵担保責任」を引き継ぐ概念)として問われる可能性があります。買主は履行の追完・代金減額・損害賠償・契約解除を請求でき、 売主が知っていて告知しなかった場合は免責特約自体が無効 になります(参考: 一般財団法人 住宅金融普及協会「不動産売主の契約不適合責任」)。
ガス管が家の下を通っているような物件は、 通常の使用において発見が困難 な状態です。買主からすれば「知っていたのに教えてもらえなかった」「知らずに買ってしまった」という主張になりやすい。
実際には、売主自身も知らなかったケースがほとんどです。それでも、買主との間でトラブルになれば、訴訟や交渉に発展する可能性があります。
売主側の学び
古家の売却を検討している方が押さえておきたいポイントを整理します。
ひとつ目は、築古物件は「現況有姿」での売却を検討すること 。解体・建て替えを前提とした買取再販業者に売る場合、こうした地中トラブルのリスクは買主側が負う形になります。売主が自分で解体してから売ろうとすると、トラブル発覚時の負担が直接かかってきます。
ふたつ目は、隣地との配管関係を把握しておくこと 。可能であれば、ガス・水道・下水の引き込み位置を東京ガスや水道局で確認しておくと安心です。完全には分からなくても、把握できる範囲で記録しておくと、買主への情報開示がスムーズになります。
みっつ目は、業者選びでリスクへの対応力を見ること 。今回のように4〜5ヶ月の工事停止と40万円の追加費用を、自社で吸収できる体力と判断力を持った業者でなければ、事業そのものが頓挫します。買取再販を依頼する場合、こうした想定外への対応力が業者の本当の実力です。
よっつ目は、「掘ってみるまで分からない」を前提に契約条件を組むこと 。売主側として、地中の状況について保証できないことを契約書に明記しておく。買主側も、それを前提に価格と契約条件を提示する。お互いに想定外のリスクを織り込んでおくことが、後のトラブルを防ぎます。
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なないろ土地査定 パートナー企業について
| 社名 | ホームワーク株式会社 |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 橋本 泰 |
| 免許番号 | 東京都知事(2)第100965号 |
| 設立 | 2017年7月 |
| 加盟団体 | 全日本不動産協会 / 不動産保証協会 / 東日本不動産流通機構 |
よくある質問
- Q. 築古の家を売却する際、地中の配管リスクはどこまで把握すべきですか?
- A. ガス・水道・下水の引き込み位置は、各事業者や水道局である程度確認できます。ただし本管位置の図面が中心で、家屋への引き込み経路まで完全には記録されていません。把握できる範囲で記録しておくと、買主への情報開示がスムーズになります。
- Q. 解体後に隣家のガス管などが発覚した場合、売主にも責任が及びますか?
- A. 可能性はあります。買主が解体・建て替えを前提に購入した場合、地中の重大な埋設物トラブルが売主の契約不適合責任として問われることがあります。実際には売主自身も知らなかったケースがほとんどですが、訴訟や交渉に発展する余地は残ります。
- Q. 築古物件を売却する際、「現況有姿」での売却にメリットはありますか?
- A. あります。解体・建て替えを前提とした買取再販業者に売る場合、地中トラブルのリスクは買主側が負う形になります。売主が自分で解体してから売ろうとすると、トラブル発覚時の費用負担と工事遅延が直接かかってきます。
- Q. 配管トラブルが起きやすい物件にはどんな特徴がありますか?
- A. 築50年以上の家、過去に借地権が多かった地域、長屋形式から戸建てに建て替えられた区画では、配管が現代の図面と違う経路を通っている可能性が高くなります。当時の建築では地中配管位置の確認が今ほど徹底されていなかったためです。