再建築不可でも建替え可能?43条但し書き許可の条件と申請手続き

再建築不可でも建替え可能?43条但し書き許可の条件と申請手続き

物件タイプ別 2026.02.18 公開
#再建築不可 #43条但し書き #建築確認

この記事でわかること

Q. 43条但し書き許可とは?
A. 接道義務を満たさなくても、敷地周囲に広い空地があるなど安全性が確保できれば特別に建築が認められる制度です。2018年の法改正で「認定」(第43条第2項第1号)と「許可」(第2項第2号)の2ルートに整理されました。
Q. 許可を受けるための条件は?
A. 敷地周囲に広い空地があること、安全上支障がないこと、建築審査会の同意が得られることが必要です。
Q. 申請にかかる費用と期間は?
A. 費用は建築士依頼費・測量費含め20〜60万円程度。期間は事前相談から許可まで3〜6ヶ月程度かかります。

43条但し書きとは

建築基準法第43条第1項では、建物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」と定めています。再建築不可の基本については「再建築不可物件とは?」もご覧ください。

しかし、この条件を満たさない土地でも、特定の条件を満たせば建築が認められる 場合があります。これが「43条但し書き許可」と呼ばれる制度です。

2018年法改正:認定と許可の2ルート

2018年(平成30年)の建築基準法改正により、旧「但し書き許可」は以下の2ルートに整理されました。

ルート条文手続き建築審査会対象
認定第43条第2項第1号特定行政庁が認定不要省令基準に適合する場合
許可第43条第2項第2号特定行政庁が許可同意が必要個別審査が必要な場合

認定は建築審査会の同意が不要なため、許可より手続きが簡素です。自治体によっては「包括同意基準」(一括同意基準)を定めており、基準に該当すれば個別審査なしで許可が下りるケースもあります。

たとえば東京都の一括許可同意基準では、「幅員4m以上の道(建築基準法上の道路ではないもの)に2m以上接している」場合や、「農道その他公共の用に供する道に接している」場合などが定められています。基準の内容は自治体ごとに異なるため、必ず管轄の建築指導課に確認してください。

本記事では認定・許可の両方をまとめて解説します。

法律の条文

建築物の敷地が道路に2メートル以上接しない場合でも、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。

つまり

接道義務を満たさなくても、安全性などの観点から問題がなければ、特別に建築を許可してもらえる制度です。

43条但し書き道路とは

「43条但し書き道路」とは、建築基準法上の道路(42条道路)には該当しないが、43条但し書き許可の基準となる「道路状の空地」を指す通称です。正式な法律用語ではありませんが、不動産取引で広く使われています。

42条道路との違い

項目42条道路43条但し書き道路
法律上の位置づけ建築基準法上の「道路」道路ではないが通行可能な空地
接道義務2m以上接すれば再建築可許可が必要(自動的には不可)
建替え建築確認のみで可能43条但し書き許可+建築確認が必要
許可の永続性道路認定は永続建物ごとに許可が必要

つまり、43条但し書き道路に面しているだけでは再建築可能にはなりません。あくまで 許可を受けることで建替えが認められる 制度です。

許可の条件

43条但し書き許可を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。

基本的な条件

  1. 敷地の周囲に広い空地がある

    • 公園、広場、空地などに接している
    • 通路として使用できるスペースがある
  2. 交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がない

    • 緊急車両が近くまで来られる
    • 避難経路が確保されている
    • 日照、通風に問題がない
  3. 建築審査会の同意が得られる

    • 市区町村の建築審査会で審査
    • 許可基準に適合しているか判断

具体的に許可されやすいケース

ケース許可の可能性
幅4m未満の道(2項道路以外)に接している高い
位置指定道路に接しているが認定されていない高い
通路(私道)に接している中程度
公園や広場に接している中程度
袋地だが周囲に空地がある低〜中程度

申請手続きの流れ

1. 事前相談建築指導課2. 書類準備建築士に依頼3. 申請提出建築指導課← 1〜3ヶ月 →4. 建築審査会月1回開催1〜2ヶ月5. 許可決定特定行政庁6. 建築確認申請→ 建替え着工へ合計:3〜6ヶ月程度※ 認定(第2項第1号)の場合、ステップ4(建築審査会)は不要

ステップ1:事前相談

まず、市区町村の建築指導課に事前相談します。

確認すること

  • 許可の可能性
  • 必要な条件
  • 過去の許可事例

ステップ2:必要書類の準備

書類内容
許可申請書所定の様式
委任状代理人が申請する場合
案内図敷地の位置を示す図面
配置図敷地と建物の配置
敷地周辺の現況図周辺道路、空地の状況
土地の登記簿謄本所有権の確認
通路の使用承諾書私道の場合
その他市区町村によって異なる

ステップ3:申請書の提出

市区町村の建築指導課に申請書を提出します。

ステップ4:建築審査会での審査

月1回程度開催される建築審査会で審査されます。

審査のポイント

  • 安全性の確認
  • 周辺環境への影響
  • 許可基準への適合

ステップ5:許可・不許可の決定

審査会の同意を得て、特定行政庁(市区町村長等)が許可を決定します。

ステップ6:建築確認申請

許可が下りたら、通常の建築確認申請を行います。

申請にかかる費用と期間

費用

項目費用目安備考
許可申請手数料数千円〜1万円程度自治体により異なる。無料の自治体もある
建築士への依頼費用10〜30万円図面作成・申請代行を含む。案件の複雑さで変動
測量費用(必要な場合)10〜30万円境界確定測量が必要な場合。確定済みなら不要

※ 費用は案件の条件(敷地面積、周辺状況、測量の要否)により大きく変動します。必ず事前相談の段階で建築士・測量士に見積もりを取ってください。

期間

ステップ期間目安備考
事前相談〜申請準備1〜3ヶ月書類の準備量による。測量が必要な場合は長くなる
審査会での審査1〜2ヶ月建築審査会は月1回程度の開催。認定の場合は審査会不要
許可〜建築確認1〜2ヶ月許可後に通常の建築確認申請を行う

合計:3〜6ヶ月程度(認定ルートの場合は審査会が不要なため短縮される可能性あり)

許可の注意点

注意点1:許可は建物ごと

43条但し書き許可は、建築する建物に対して許可されます。次に建替える際は、再度許可が必要です。

注意点2:必ず許可されるわけではない

条件を満たしていても、許可されないケースもあります。

注意点3:条件付き許可の場合も

「道路状空地の維持管理」など、条件付きで許可される場合があります。

注意点4:近隣との調整

通路の通行権など、近隣との調整が必要な場合があります。

許可が下りなかった場合

43条の認定・許可は必ず得られるわけではありません。申請が不許可になった場合や、事前相談の段階で見込みがないと判断された場合は、以下の選択肢を検討しましょう。

選択肢内容詳細
リフォームで活用建替えではなく大規模リフォームで建物を再生再建築不可物件のリフォーム
隣地の一部を購入隣地を取得して接道義務を満たすセットバックで再建築可能にする条件
再建築不可のまま売却買取業者等に現況で売却再建築不可物件の売却価格

なないろ土地査定のパートナー企業が扱った再建築不可物件の買取事例では、隣地交渉で接道確保を試みましたが実現せず、大規模リフォームで建物を再生しました。許可が下りなくても活用・売却の道はあります。

許可されやすくするポイント

ポイント1:事前相談を丁寧に

市区町村との事前相談で、許可の見通しや必要な対応を確認しましょう。

ポイント2:建築士への依頼

経験のある建築士に依頼することで、スムーズに進みます。

ポイント3:近隣との良好な関係

通路の使用承諾など、近隣の協力が必要な場合があります。

ポイント4:過去の許可事例を確認

同じような条件で許可された事例があれば、参考になります。

売却への影響

許可が取れる可能性がある場合

43条但し書き許可の可能性がある物件は、以下のメリットがあります。

  • 再建築可能になる可能性を買主にアピールできる
  • 完全な再建築不可より高く売れる可能性
  • 購入検討者が増える

売却時の対応

方法メリットデメリット
許可を取得してから売却高く売れる可能性時間と費用がかかる
許可の可能性をアピール早く売却できる価格がやや下がる

まとめ

43条但し書き許可は、再建築不可物件が建替え可能になる重要な制度です。

許可を受けるには

  • 敷地周囲に広い空地がある
  • 安全性が確保できる
  • 建築審査会の同意が得られる

手続きのポイント

  • 事前相談が重要
  • 建築士への依頼がおすすめ
  • 許可まで3〜6ヶ月程度

再建築可能にする別の方法として「セットバックで再建築可能にする条件」、売却価格の目安は「再建築不可物件の売却価格」をご覧ください。

再建築不可物件の買取事例

許可が取れない再建築不可物件も、リフォームや隣地交渉で活用できる場合があります。

再建築不可物件の売却全般については「再建築不可の売却・買取」もあわせてご覧ください。

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