再建築不可物件の売却価格は何割?相場の目安と高く売る5つの方法

再建築不可物件の売却価格は何割?相場の目安と高く売る5つの方法

物件タイプ別 2026.02.19 公開 2026.05.27 更新
#再建築不可 #接道義務 #価格 #相場

この記事でわかること

Q. 再建築不可物件の売却価格相場は?
A. 通常の不動産の5〜7割程度が相場です。無接道の場合は50〜60%、接道幅不足の場合は60〜70%程度になります。
Q. 価格が下がる主な理由は?
A. 再建築できないリスク、住宅ローンが使いにくい、売却時の流動性が低い、担保価値が低いことが主な理由です。
Q. 高く売るためのポイントは?
A. 隣地所有者への打診、建築基準法43条第2項の認定・許可の確認、建物の価値アピール、複数社からの見積もり取得が効果的です。

市街地ならどんな土地でも家が建てられると思っていませんか?

実は、家は道路に接した土地にしか建てられません。「でも、うちの土地は道に面しているのに、家が建てられないと言われました」――こうした相談は少なくありません。

私たちが普段「道」と呼んでいるものと、建築基準法が定める「道路」は別物です。法律上の道路の条件を満たしていなければ、どんなに広い道に面していても建替えはできません。

接道義務とは

建築基準法第43条第1項では、建物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」と定めています。これを 接道義務 といいます。この要件を満たさない土地では、原則として建物の建替え(新築・増築・改築)ができません。再建築不可の基本については「再建築不可物件とは?」もご覧ください。

接道義務を満たさないケース

パターン内容
無接道道路に全く接していない(袋地)
接道幅不足道路に接しているが2m未満
道路幅不足接している道路が4m未満
非道路建築基準法上の道路ではない

売却価格の相場

一般的な相場

接道義務を満たさない土地(再建築不可物件)の売却価格は、 通常の不動産の5〜7割程度 が相場です。

この水準は、国税庁の財産評価基本通達20-3で定められている無道路地の評価方法とも整合します。同通達では、無道路地は通路開設費用を控除したうえで 最大40%の減額 が認められており、相続税評価の段階で大幅に低い評価額が適用されます。実際の売買ではさらに流動性の低さが加わるため、5〜7割という水準になります。

具体的な計算例

例:接道義務を満たす場合の評価額が3,000万円の土地

再建築可能(通常)3,000万円100%接道幅不足(1.5m)1,800〜2,100万円60〜70%無接道(袋地)1,500〜1,800万円50〜60%01,500万3,000万

実際の価格差:同じエリアでの比較

「5〜7割」はあくまで目安です。実際の価格は接道状況によって大きく変わります。以下は、レインズ(不動産流通機構の取引情報システム)に掲載されていた東京都内・同一町丁目の売地3件を比較した例です。

項目再建築不可(無接道)再建築不可(接道約1m)一般(再建築可能)
坪単価約30万円約110万円約260万円
一般との比率約1割約4割100%
用途地域準工業地域準工業地域準工業地域
接道なし約1m4m超(角地)

同じ町丁目の売地でも、接道状況によって坪単価に大きな差が出ています。

  • 接道1.1m の物件は一般の約40%。道路には接しているため建物へのアクセスは確保されていますが、接道義務の2mを満たさないため再建築不可です
  • 完全な無接道 の物件は一般の約12%。道路に全く接していないため、条件はさらに厳しくなります

なお、この比較では面積差(35〜68㎡)や容積率の違い(160〜200%)、比較対象が角地であることも価格に影響しています。 「5〜7割」は接道の条件が比較的良いケースの目安 であり、無接道や狭小地では1〜2割になることもあるのが現実です。

もう一つの実例:千葉県内・隣接地での比較

別のケースとして、千葉県内で 同じ町丁目内の隣り合った2物件 が同時期に売り出されていた例もあります。一方は接道幅約7.2mの公道に面する一般の更地、もう一方はその奥にある無接道の再建築不可物件です。

項目再建築不可(無接道)一般(再建築可能)
坪単価約9.7万円約62万円
一般との比率約16%100%
土地面積約51坪(170㎡)約79坪(261㎡)
用途地域近隣商業地域・第1種住居地域近隣商業地域・第1種住居地域
接道なし公道幅員約7.2m
最寄駅・徒歩同一駅・徒歩13分同一駅・徒歩13分

隣り合った土地で 用途地域・最寄り駅・徒歩分数が完全に揃っている ため、価格差はほぼ「再建築可否」のみに帰着する事例です。

東京都内の事例(一般の約12%)と合わせると、 無接道は一般の約12〜16% という共通パターンが見えてきます。「5〜7割」という目安はあくまで条件が良いケースの話であり、完全な無接道では1〜2割という水準が現実です。

価格を左右する要因

高く売れるケース

  • 都心の好立地
  • 建物の状態が良い
  • 43条第2項の認定・許可の可能性がある
  • 隣地購入で再建築可能になる

安くなるケース

  • 面積が極端に小さい(狭小地)
  • 完全な無接道(袋地)
  • 建物が老朽化
  • 周辺環境に問題がある

価格が下がる理由

理由1:再建築できない

最大の理由は、建物を建替えられないことです。

  • 現在の建物が使えなくなったら終わり
  • 大規模な修繕しかできない
  • 将来的な活用に制限

理由2:住宅ローンが使いにくい

銀行の住宅ローンが使えないため、買主が限られます。

  • 現金購入が前提
  • 購入できる層が減少
  • 価格交渉で不利に

理由3:売却時の流動性が低い

買い手が見つかりにくいため、将来の売却も不安があります。

理由4:担保価値が低い

金融機関から見た担保価値が低いため、資金調達に使いにくいです。

価格評価の方法

方法1:取引事例比較法

近隣の類似物件の取引事例を参考に価格を算定します。

ポイント

  • 同じような接道状況の物件を探す
  • 再建築不可物件の取引事例は少ない
  • 複数の事例を比較

取引事例は、国交省の「不動産情報ライブラリ」(旧・土地総合情報システム)で誰でも検索できます。エリアと期間を指定すると実際の成約価格が閲覧でき、備考欄に「再建築不可」や「セットバック要」といった条件が記載されている事例もあります。ただし、再建築不可に特化した絞り込み機能はないため、近隣エリアの事例を一つずつ確認する必要があります。

方法2:国税庁の無道路地評価(財産評価基本通達20-3)

相続税の土地評価で用いられる方法ですが、売却価格の目安としても参考になります。

計算の流れ

  1. 無道路地に「想定通路」を設定し、前面の道路に接する形を仮定する
  2. 無道路地と想定通路を合わせた全体を不整形地として評価する
  3. 通路開設費用(路線価 × 通路部分の面積)を控除する
  4. 控除額の上限は評価額の 40%

この方法で算出された評価額は、実際の売却価格と近い水準になることが多く、「5〜7割」の相場感を数値で裏付けることができます。

方法3:原価法

土地と建物の価値を積み上げて算定します。

計算イメージ

土地の評価額 × 減価率(50〜70%)
+ 建物の残存価値
= 売却価格

方法4:収益還元法

賃貸収入から逆算する方法です。

計算イメージ

年間賃料 ÷ 利回り = 物件価格

投資用物件として売却する場合に有効です。

固定資産税評価額との関係

固定資産税評価額は、接道義務を満たさないことによる減価が十分に反映されていない場合があります。

売却価格との乖離

項目評価額
固定資産税評価額2,000万円
売却価格(再建築不可の場合)1,000〜1,400万円

固定資産税評価額の5〜7割程度が売却価格の目安になります。

高く売るためのポイント

ポイント1:隣地所有者への打診

隣地所有者にとって、土地を合わせることで再建築可能になる可能性があります。

メリット

  • 再建築不可のまま買っても価値がある
  • 第三者より高く買ってくれる可能性
  • スムーズに交渉できることも

隣地買取の経済合理性(数字で見る)

前述の千葉県内の事例(一般62万円/坪 vs 再建築不可9.7万円/坪)で考えると、無接道側の所有者が隣地と土地を合わせて売却できれば、坪単価ベースで 約6倍以上の差額 が生まれます。隣地所有者にとっても、その土地を取得することで自身の資産価値を上げられるケースがあるため、第三者より高い価格を提示する経済的合理性があります。

ただし、必ず成立するとは限らない

隣地交渉は理屈としては合理的ですが、実際には所有者の意向や近隣関係で成立しないこともあります。たとえば 「再建築不可・ボロ戸建・空き家の買取事例(千葉県松戸市)」では、隣地所有者から「これまで通り通行は問題ないが、土地の売却や建替えのための提供はできない」と断られたケースが報告されています。

このように交渉が不成立に終わった場合の選択肢として、現状の建物を活かした大規模リフォームによる賃貸活用があります。再建築不可物件は銀行融資が付きにくいため買い手が限られますが、自己資金で買い取れる業者であればこうした再生も可能です。

ポイント2:43条第2項による認定・許可の確認

建築基準法第43条第2項には、接道義務を満たさなくても建築を認める例外規定があります。2018年の法改正で以下の2ルートに整理されました。

ルート条文手続き建築審査会
認定第43条第2項第1号特定行政庁が認定不要
許可第43条第2項第2号特定行政庁が許可同意が必要

認定・許可を取得できれば再建築可能になり、物件の価値は大幅に上がります。改正前は「但し書き許可」として一括されていましたが、現在は要件に応じて認定で済むケースもあります。

確認方法

  • 市区町村の建築指導課に相談(自治体ごとに包括同意基準が異なる)
  • 過去の許可事例を確認
  • 専門家(建築士)に相談

私道トラブルがある場合

接道に関する制約には、43条認定・許可の対象となるケースのほかに 私道の権利関係 に起因するものもあります。私道に面した土地でその私道の権利を持っていない場合、通行や水道管の埋設について 権利者全員の承諾(私道通行掘削承諾書) が必要となり、一人でも反対者がいれば実質的に建築や売却が困難になります。

「「私道トラブル」物件の買取事例(東京都文京区)」では、私道権利者8人のうち1人の承諾が得られず売却が止まっていた土地について、第三者が交渉に入り私道権利の一部を譲受することで全員の承諾を取り付けたケースが報告されています。買取完了まで約1年かかりましたが、結果として新築3棟の分譲販売が成立しました。

私道トラブルは表面的には「売れない物件」に見えても、 権利取得交渉などによって解消できる場合がある ため、専門業者への相談が有効です。

ポイント3:建物の価値をアピール

現在の建物が良好な状態であれば、その価値をアピールしましょう。

アピールポイント

  • リフォーム履歴
  • 耐震補強の有無
  • 設備の新しさ

ポイント4:複数の買取業者から見積もり

買取業者に売却する場合は、必ず複数社から見積もりを取りましょう。

見積もり時のポイント

  • 最低3社以上に依頼
  • 条件も比較(決済時期など)
  • 価格交渉の余地を確認

ポイント5:投資家向けにアピール

賃貸収入が見込める物件なら、投資家向けに利回りをアピールする方法もあります。

売却先による価格の違い

売却先価格の目安特徴
隣地所有者高め(70〜100%)最も高く売れる可能性
投資家・賃貸保有目的の買主中程度(60〜80%)利回り・賃貸需要重視
一般の買主中程度(60〜70%)見つかりにくい
買取業者やや低め(50〜70%)確実に売却可能

賃貸保有を前提とする買主という選択肢

分譲(売却して終わり)を前提とすると買い手が限られる物件でも、 賃貸住宅として長期保有することを前提とする買主 であれば成立するケースがあります。たとえば 「「狭小地」の買取事例(東京都大田区)」では、戸建デベロッパーが敬遠した約50㎡の旗竿地に2LDKの一戸建てを建築し、賃貸として運用したところ、買取から約5年が経過した現在も入居が続いています。

一戸建ての賃貸物件は供給が少なく、特に子育て世帯からの需要があるため、 分譲では難しい土地でも賃貸保有なら成立する という選択肢を持つ買主に打診できると、価格交渉の幅が広がります。

注意すべき点

1. 相場を把握してから交渉

適正な相場を把握しないと、不利な価格で売却してしまう可能性があります。国交省の「不動産情報ライブラリ」やレインズマーケットインフォメーション(不動産会社経由で閲覧可能)で、近隣の取引事例を確認しておきましょう。

2. 接道状況を正確に確認

接道義務を満たさない原因を正確に把握し、改善の可能性も検討しましょう。

3. 建物の状態を正直に開示

建物に問題がある場合は、正直に開示することが重要です。隠すと後でトラブルになります。

なぜ「家が建っているのに再建築不可」なのか

家が建っているのに再建築不可――矛盾しているように聞こえますが、こうした土地は全国に多数あります。昭和の分譲地では、宅建業者が私道を複雑に分筆して住宅を新築し、結果として現在の接道義務を満たさない土地が数多く生まれました。昭和の分譲地の登記簿を読み解いた実務レポートでは、その実態を詳しく解説しています。

こうした経緯で再建築不可になった土地は、所有者が売却を考えたときに初めて問題が表面化します。「なぜ自分の土地なのに建替えができないのか」を理解することが、適正な価格で売却するための第一歩です。

実際の買取事例については「再建築不可・ボロ戸建・空き家の買取事例」をご覧ください。

まとめ

接道義務を満たさない土地の売却価格は、一般的に「5〜7割」と言われますが、これは条件が良いケースの話です。実際には接道状況・面積・立地によって1〜4割程度まで下がることも珍しくありません。

価格を上げるポイント

  • 隣地所有者への打診
  • 43条第2項の認定・許可の確認
  • 建物の価値アピール
  • 複数社からの見積もり
  • 投資家向けのアピール

再建築不可物件の売却相場と価値を最大化する3つの戦略:価格相場(一般100%/接道1m約40%/無接道約12〜16%)と、隣地所有者への売却打診・43条2項の認定/許可・投資家や専門買取業者へのアピールという主要戦略の整理

再建築不可物件の売却全般については「再建築不可の売却・買取」もあわせてご覧ください。

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