相続登記の費用と期間|売却前に知っておくべきこと

相続登記の費用と期間|売却前に知っておくべきこと

物件タイプ別 2026.02.24 公開 2026.06.13 更新
#相続登記 #費用 #期間

この記事でわかること

Q. 相続登記の費用はいくらかかりますか?
A. 登録免許税(評価額の0.4%)と戸籍等の実費(数千円〜1万円)が必須。司法書士に依頼すると追加で5〜15万円かかります。
Q. 相続登記にかかる期間は?
A. 自分で行う場合は2〜5ヶ月、司法書士に依頼すると2〜4ヶ月程度。相続人が多いと1年以上かかることもあります。
Q. 費用を抑える方法はありますか?
A. 自分で登記する、法務局の無料相談を活用、戸籍の広域交付を利用、複数の司法書士から見積もりを取るなどの方法があります。

相続登記の費用

相続登記には、必ずかかる費用と、専門家に依頼する場合の費用があります。2024年からの義務化については「相続登記していない土地は売れる?」をご覧ください。

必ずかかる費用

項目費用の目安根拠
登録免許税固定資産評価額の0.4%登録免許税法第9条・別表第一
戸籍謄本等1通450〜750円戸籍法第10条
住民票1通300円程度住民基本台帳法第12条
印鑑証明書1通300円程度—
固定資産評価証明書1通300〜400円—

登録免許税の計算方法

登録免許税 = 固定資産評価額 × 0.4% ( 登録免許税法第9条・別表第一 )

固定資産評価額は毎年送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。手元にない場合は市区町村役場で「固定資産評価証明書」を取得できます。なお、相続登記の登録免許税には 免税措置 があり、評価額100万円以下の土地は登録免許税が免除されます(2025年3月末まで。延長の可能性あり)。

戸籍収集の費用

相続人を確定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要です。

種類1通あたりの費用
戸籍謄本450円
除籍謄本750円
改製原戸籍750円

通常、被相続人1人につき5〜10通程度の戸籍が必要です。費用は3,000〜7,000円程度が目安です。

司法書士に依頼する場合

自分で登記する自信がない場合は、司法書士に依頼します。

内容費用の目安
基本報酬5〜10万円
戸籍収集代行1〜3万円
遺産分割協議書作成1〜3万円
その他実費数千円〜

合計費用の目安:8〜15万円程度

複雑なケースの追加費用

事案によっては基本費用に上乗せが発生します。相続人が5人以上いる場合は追加で2〜5万円、数次相続が絡むと3〜10万円、不動産が複数あれば1件ごとに1〜3万円が加算されます。さらに遺産分割で調停が必要になると30〜50万円程度の追加費用がかかり、ここまで来ると専門家のサポートなしでは難しい領域です。

相続登記の費用と期間の全知識。費用と期間の目安は、自分で登記する場合が数万〜10万円・2〜5ヶ月、司法書士に依頼する場合が10〜20万円・2〜4ヶ月。登録免許税は固定資産評価額×0.4%で算出し、司法書士報酬は相続人が5人以上で+2〜5万円、数次相続(二次相続)が重なると+3〜10万円と加算される。放置すると権利関係が複雑化し1年以上かかるリスクも。手続きを効率化する3つのポイントとして、2024年3月開始の戸籍の広域交付で取得の手間を大幅削減、100万円以下の土地は2025年まで登録免許税が免除、「後回し」が将来の費用増という見えないコストになる注意点を整理

相続登記の期間

自分で行う場合

ステップ期間の目安
戸籍収集2週間〜1ヶ月
遺産分割協議1〜3ヶ月
書類作成1〜2週間
法務局での審査1〜2週間

合計:2〜5ヶ月程度

司法書士に依頼する場合

ステップ期間の目安
初回相談・見積もり即日〜1週間
戸籍収集2〜4週間
遺産分割協議1〜3ヶ月
登記申請・完了2〜4週間

合計:2〜4ヶ月程度

司法書士に依頼すると、戸籍収集が効率的に進むため、やや短縮できます。

期間が延びるケース

期間がさらに延びる主因は、相続人の人数と権利関係の複雑さです。 相続人が多い と全員の書類収集だけで数ヶ月、 相続人と連絡が取れない 場合は住所調査から始める必要があります。 遺産分割がまとまらない と協議が長期化し、 数次相続 が絡むと戸籍収集自体が複雑になります。最悪の場合、1年以上かかることもあります。

【筆者の事例】「もっと早くやればよかった」と言わせた手続きの実態

筆者は現在、知人の相続未登記の土地について、本人の代わりに登記手続きを進めています。長年放置されてきたこの案件で、本人が手続きに着手したあとに口にした感想は、 比較期の読者(いま費用と期間を見積もっている段階の方)にとって、おそらく一番大事な情報 です。

「こんなものなのか?だったらもっと早くにやっておけばよかった」

着手前のイメージと実態のギャップ

その知人は、長年「相続登記は面倒で、自分には無理そう」というイメージを持ち続けていました。実際、本記事の表で示したとおり戸籍収集から申請まで合計で数ヶ月かかり、決して即日で終わる話ではありません。

それでも、いざ司法書士と連携して進めてみると、本人が想像していたような「圧倒的な手間」は感じませんでした。本人が直接動く必要があったのは、印鑑証明書の取得と協議書への押印程度。戸籍収集は司法書士が代行し、本人は連絡を受けて確認するだけ。期間も、毎日作業に追われるわけではなく節目節目で動くだけで、手続きが頭の片隅にあったのは初動の1〜2週間ほどでした。

司法書士費用5〜15万円も、義務化以降に予期される過料(10万円以下)や、管理責任に伴う賠償リスク(詳細は「相続放棄した土地の管理責任」を参照)と比較すれば、「予防的支出」として割り切れる範囲でした。

「もっと早く」の意味するもの

本人が口にした「もっと早くやっておけばよかった」には2つの含みがあります。ひとつは 手続き自体の負担が想像より軽かった こと。漠然とした重さの予測が、実際の体験で大幅に修正されたわけです。

もうひとつは、後回しにしていた数年間に 見えない権利関係が積み重なっていた ことです。今回のケースでは、登記簿確認の結果、60年前の贈与による共有持分(隣接地の一部)が新たに発覚し、別途の相続登記対応が必要になりました(共有持分の問題は「共有名義の不動産を放置すると?」で扱います)。後回しの間に状況が静かに複雑化していた、というのが「もっと早く」のもう一つの意味です。

比較期の読者へ

費用と期間の表を見比べて、「自分でやるか、司法書士に依頼するか」「いまやるか、もう少し待つか」を検討している段階の方は多いと思います。少なくともこの事例から言えるのは、 後回しにする年月のコストは、見積もりに表れる金額より大きくなりがち ということです。先送りの見えないコストを差し引いたうえで、判断材料にしてみてください。

売却前に準備すべきこと

1. 相続人の確認

まず、誰が相続人なのかを確認します。手順としては、被相続人の戸籍を取得して法定相続人を特定し、相続放棄者がいないかを確認する流れです。出生から死亡まで連続した戸籍が必要なため、ここでつまずくと先に進めません。

2. 遺言書の確認

遺言書があれば、遺産分割協議が不要で遺言の内容に基づいて登記できます( 民法第985条 )。確認すべき場所は3つあり、自宅の金庫や書斎にある自筆証書遺言、公証役場で保管された公正証書遺言( 民法第969条 )、そして法務局の自筆証書遺言保管制度( 法務局における遺言書の保管等に関する法律 )です。発見漏れを防ぐため、3か所すべて当たっておくのが安全です。

3. 不動産の状況確認

確認事項確認方法
登記簿の名義法務局で登記簿謄本を取得
固定資産評価額市区町村役場で評価証明書を取得
現地の状況実際に訪問して確認

4. 相続人全員への連絡

売却するには相続人全員の同意が必要です。連絡時のポイントは、相続登記の必要性を丁寧に説明したうえで売却の意向を確認し、売却代金の分配方法まで具体的に協議することです。連絡が遅れると協議の場が持てず、結果として登記そのものが先延ばしになるため、早めに動く価値があります。

費用を抑える方法

1. 自分で登記する

司法書士費用(5〜15万円)を節約できます。向いているのは、相続人が少なく(2〜3人)、遺産分割がスムーズにまとまる見込みがあり、時間に余裕があり、パソコンや書類作成に慣れているケースです。逆に、相続人が多い・遺産分割で揉める可能性がある・本業が忙しい場合は、自力での登記はかえって時間とストレスのコストが高くつきます。

2. 法務局の相談窓口を活用

法務局では無料で登記相談を受けられます。

3. 戸籍の広域交付を利用

2024年3月1日から、 戸籍法の改正 により本籍地以外の市区町村でも戸籍謄本を取得できるようになりました( 戸籍法第120条の2 )。最寄りの市区町村窓口で被相続人の出生から死亡までの戸籍をまとめて請求でき、従来必要だった複数の本籍地への郵送請求の手間と費用を大幅に節約できます。

4. 複数の司法書士から見積もり

司法書士の報酬は事務所によって異なります。複数から見積もりを取って比較しましょう。

売却と登記を同時に進める

相続登記と売却を別々に進める代わりに、両方を同時並行で動かす方法があります。時間が短縮できるうえ、手続きが効率化され、業者との交渉余地も生まれるため費用面でもメリットが出やすくなります。

実際の流れは、買取業者に相談して査定・価格提示を受け、売却の合意(条件として登記完了を組み込む)を得たうえで相続登記手続きを進め、登記完了とともに売買契約・決済へ進むというステップです。買取業者が司法書士を紹介してくれることも多く、自分で司法書士を探す手間を省けます。

まとめ

相続登記の費用と期間をまとめます。

項目費用期間
登録免許税評価額の0.4%-
戸籍等の実費数千円〜1万円-
司法書士報酬5〜15万円-
合計(自分で)数万〜10万円程度2〜5ヶ月
合計(依頼時)10〜20万円程度2〜4ヶ月

売却前に相続登記を完了させることが必要です。早めに準備を始めましょう。

相続未登記の不動産の売却全般については「相続未登記の売却・買取」もあわせてご覧ください。

参考リンク

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