境界未確定の土地の売却|確定しないまま売れる?
この記事でわかること
Q. 境界未確定の土地は売却できますか?
Q. 境界未確定だと売却価格はどれくらい下がりますか?
Q. 境界未確定の土地を売却する際の注意点は?
境界未確定の土地とは
境界未確定の状態
境界未確定とは、隣接地との境界線が明確に定まっていない状態を指します。具体的には、現地に境界標が打たれていない、過去に設置されたはずの境界標の位置が分からなくなっている、隣接地主と境界線の認識が食い違っている、法務局に地積測量図が備え付けられていない、といったケースが該当します。
「地積測量図」とは、土地の面積を法的に確定させるために作成された図面で、法務局に登録されているものを指します。地積測量図がない土地は、登記簿上の面積(公簿面積)と実測面積が一致しない可能性があります。
境界未確定が多い理由
東京都内の戸建用地でも、境界が確定していない土地は珍しくありません。古くからの土地は精密な測量が行われていなかったり、設置されていた境界標が経年で紛失・移動したりしている例が多くあります。相続を繰り返す中で境界に関する記憶や資料が引き継がれず、いざ売却しようとした段階で初めて未確定だと判明することも少なくありません。また、隣接地主との関係性によっては、過去の所有者の代に確定協議が試みられたものの協力が得られず、未確定のまま現在に至っているケースもあります。
境界未確定でも売却できる?
結論:売却できる
境界未確定の土地でも売却は可能です。ただし、売却方法や価格には影響があります。
法律上、売却前に境界を確定しなければならないという義務はありません。境界確定を行うかどうかは、当事者の判断に委ねられています。一方で、不動産業者や個人投資家のなかには境界未確定の土地を専門的に扱う事業者がおり、そうした買主に対しては「現況のまま」での売却が可能です。買主が境界未確定の状態を理解した上で購入する意思を示せば、取引は成立します。
売却への影響
価格への影響
境界未確定の土地は、確定済みの土地より安く評価される傾向があります。境界の状態によって、価格下落の幅は以下のように変わります。
| 状況 | 価格下落の目安 |
|---|---|
| 概ね境界が明確 | ▲5〜10% |
| 一部境界が不明 | ▲10〜20% |
| 境界トラブルあり | ▲20〜30% |
※ 下落幅は東京都内の戸建用地における目安です。立地・面積・需要によって変動します。
売却期間への影響
買い手の候補が「境界未確定でも問題ない」と判断できる事業者や、隣地所有者である等の特定条件の買主に限られるため、売却期間が長くなる傾向があります。住宅ローンを利用する個人買主は、金融機関の担保評価上、境界が確定していないと融資審査で不利になる場合が多く、これも買い手を絞る要因になります。

売却の選択肢
選択肢1:境界確定してから売却
土地家屋調査士に依頼して測量を行い、隣接地主全員の立会いのもとで境界を確定させてから売却する方法です。費用や具体的な流れは「境界確定の費用と方法」で詳しく解説しています。
この方法のメリットは、確定済み土地として相場どおりの価格で売り出せる点、住宅ローン利用の個人を含めて買い手の候補が広がる点です。一方で、確定測量には30〜80万円の費用と、立会い調整から完了まで数ヶ月の時間がかかります。隣接地主の協力が得られないと確定自体ができないため、関係性の悪い隣地がある場合は途中で頓挫することもあります。
選択肢2:境界未確定のまま売却
現況のまま、境界が未確定であることを買主に告知した上で売却する方法です。
測量費用がかからず、隣地との立会い調整も不要なため、すぐに売り出せるのが利点です。ただし価格は確定済みより下がり、買い手も限定されます。将来、買主が建物の建替えや分筆を行う段階で境界トラブルが顕在化する可能性があり、その点を契約書でどう整理するかが論点になります。
選択肢3:買取業者への売却
境界未確定の土地を扱う買取業者に直接売却する方法です。仲介と違って一般市場に出さず、業者が自社で買い取ります。
業者買取の利点は、境界確定を行わずに決済まで進められること、隣地との交渉や住宅ローン審査を介在させずにスピーディーに現金化できることです。価格は仲介相場より下がる傾向がありますが、確定費用と長期間の保有コストを差し引けば結果として手取りが大きく変わらないケースもあります。後述する「実際の解決事例」のように、買取後に業者が筆界特定制度で分筆まで進めるケースもあります。
売却時の注意点
注意点1:告知義務
境界が未確定であることは、売買にあたって買主に告知する必要があります。宅地建物取引業者が仲介に入る取引では、宅地建物取引業法第35条にもとづく重要事項説明のなかで、境界の状況についても説明することが求められます(国土交通省・重要事項説明(売買・交換)の解説)。
告知すべき内容は、境界が未確定であるという事実そのものに加え、現地での境界標の有無、隣接地主との合意状況、過去にトラブルが発生しているかといった現状です。これらを伏せたまま売買を進めると、契約後に契約不適合責任を問われるリスクが残ります。
注意点2:契約書の記載
売買契約書には、境界に関する取り決めを明記します。たとえば「本物件の境界は未確定であり、売主は境界確定の責任を負わない。買主は境界未確定を承知の上で購入するものとする」といった文言で、責任の所在を明確にします。確定測量の費用負担、将来トラブルが起きた場合の対応など、論点ごとに条項を整理しておくことが重要です。
注意点3:契約不適合責任
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容と適合しない場合に、買主が売主に追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除を求めることができる売主の責任で、民法第562〜564条で定められています(e-Gov法令検索・民法)。境界が未確定であることを買主に告げずに売却した場合、後日に「契約内容に適合しない」と主張され、責任を問われる可能性があります。
対策としては、契約書に境界未確定の事実を明記し、買主の理解を得たうえで売主の境界確定責任を免責する特約を入れる方法が一般的です。ただし民法第572条により、売主が知っていて告げなかった事実については免責特約があっても責任を免れません。境界に関する情報は、把握している範囲で正直に開示することが結果的に売主自身を守ります。契約不適合責任が実際の取引でどのように扱われたかは、「「土壌汚染」が出た城東エリア土地の買取事例」「「築60年古家」解体時に隣家のガス管が出てきた事例」も参考になります。
境界の種類
筆界と所有権界
境界には2種類があり、これを区別しておくことが境界トラブルを理解する出発点になります。
筆界(ひっかい) とは、登記された土地の境界線を指します。法務局に備えられた地図や地積測量図に基づいて公的に定められたもので、当事者間の合意では変更できません。一方の 所有権界 は、現実に所有権が及ぶ範囲としての境界です。当事者間の合意や、長期間にわたる占有によって変動することがあります。
両者が一致しないケースとしては、時効取得(民法162条)により隣地の一部に所有権が拡張している場合、長年の占有状態と公図がずれている場合、過去の測量誤差が積み重なっている場合などがあります。
境界確定の種類
境界の「確定」と一口に言っても、どの方法で確定したかによって法的な効力が異なります。
| 種類 | 内容 | 効力 |
|---|---|---|
| 現地確認 | 隣接地主と現地で確認 | 当事者間 |
| 筆界確認書 | 書面で境界を確認 | 当事者間 |
| 地積測量図 | 法務局に登録 | 公的証明 |
| 筆界特定 | 法務局が特定 | 法的効力 |
売却にあたっては、買主が「どの種類の確定」を求めているかを早い段階で確認しておくと、後の交渉がスムーズになります。
境界トラブルがある場合
トラブルの例
実際の取引で起きる境界トラブルには、隣接地主が従来の境界線を認めない、現地に残る境界標の位置自体に争いがある、隣地の塀やブロック・木の枝などが越境している、といった例があります。境界トラブルの詳細は「境界トラブルと売却」をご覧ください。
対処法
まずは隣接地主との話し合いで合意を目指します。それでも解決しない場合、法務局に申し立てる 筆界特定制度 の活用が選択肢になります。筆界特定制度は、不動産登記法第131〜150条に基づき、筆界特定登記官が外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて筆界の位置を特定する制度で、訴訟と比べて費用・期間を抑えられるのが特徴です(法務省・筆界特定制度)。
筆界特定でも決着しない、あるいは所有権界そのものを争う必要がある場合は、 境界確定訴訟 で裁判所の判断を仰ぐことになります。これら一連の手続きに時間や費用をかけたくない場合は、トラブル込みで買取業者に売却するという選択肢が残ります。
業界経験から見た境界未確定の現実
境界未確定の問題は、すっきりと解決するケースから、泥沼化するものまで多種多彩です。人の恨みは代替わりしても残り続ける——ここで言う「代」は血族だけでなく、物件のオーナーチェンジも含みます。先の所有者とまったく血縁関係がなくても「前のオーナーが嫌いだったから」と、無関係なのに巻き込まれる事例は私の経験でも実在します。
基本的には自力解決がセオリーですが、交渉が苦手だったり、もめごとが嫌な方は、最初から業者に相談する選択肢もあります。当社のパートナーであるホームワーク社は、難しい境界未確定の案件をいくつも解決してきたノウハウを持っています(一例は次節で紹介)。そのような経験豊かな業者を探して相談するのが、結局は近道になるかもしれません。だからこそ、不動産業者とは日ごろから付き合いを持っておくべきだと私は思っています。
実際の解決事例
「境界未確定」の土地買取事例——筆界特定制度で隣地交渉を突破
境界確定を条件とする取引で、隣地所有者が20cmの譲歩案にも応じなかったケース。「現況のまま買い受け、買取後に筆界特定制度で分筆まで進める」という提案で売主と合意し、決済に到達した実例を紹介しています。
なないろ土地査定の境界未確定土地の買取の流れ
なないろ土地査定では、境界未確定の土地もそのままの状態で査定・買取に対応しています。一般的な流れは次のとおりです。
- 無料査定の申し込み ── 物件所在地、おおよその面積、境界の状況をお伺いします。境界が未確定であること自体は減額理由にはなりますが、買取そのものを断る理由にはなりません。
- 現地調査・隣地状況の確認 ── 当社担当が現地を確認し、登記情報や公図、地積測量図の有無、隣地との関係性を整理します。
- 査定価格のご提示 ── 境界の状況・トラブルの有無を反映した買取価格をご提示します。確定測量を行わない前提のため、概ね数日〜2週間程度で価格を提示できます。
- 売買契約の締結 ── 境界未確定である旨、売主の境界確定責任を負わない旨を契約書に明記し、契約不適合責任の取り扱いも整理します。
- 決済・引渡し ── 残代金の支払いと所有権移転登記を行い、引渡し完了です。買取後の筆界特定や分筆登記は、当社側で進めます。
対応エリア
なないろ土地査定は東京23区および近郊エリアを中心に、境界未確定の戸建用地・更地の買取を行っています。隣地との境界トラブルがある物件、地積測量図がない古くからの土地、相続後に境界が引き継がれていない土地など、他社で取り扱いを断られた物件もまずはご相談ください。
まとめ
境界未確定の土地でも売却は可能です。法律上、売却前に境界を確定する義務はなく、買主との合意があれば取引は成立します。境界未確定を扱う買取業者であれば、現況のまま決済まで進められます。
価格は、境界の状況に応じて確定済み相場より5〜30%程度下がる傾向があり、買い手も限られるため売却期間が長くなりがちです。選択肢としては「境界確定してから売却(測量費用30〜80万円)」「境界未確定のまま仲介で売却」「買取業者への売却」の3つがあります。確定費用と保有コストを含めた総額で比較するのが現実的です。
売却時には、境界未確定であることの告知、契約書での責任分担の明記、契約不適合責任への対策(民法562〜566条)を必ず整理してください。境界未確定の土地の基本的な仕組みや対処法は「境界未確定の土地について」で解説しています。


