建ぺい率・容積率オーバーの売却相場|価格目安を一覧表で解説
この記事でわかること
Q. 建ぺい率・容積率オーバーの建物の売却相場はどれくらいですか?
Q. 既存不適格と違法建築の違いは何ですか?
Q. オーバーの程度が大きい場合、どのように売却すればいいですか?
建ぺい率・容積率とは
建ぺい率
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です(建築基準法第53条)。
建ぺい率 = 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
容積率
容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合です(建築基準法第52条)。
容積率 = 延床面積 ÷ 敷地面積 × 100
オーバーの例
敷地面積100㎡、建ぺい率60%、容積率200%の場合
| 項目 | 上限 | オーバーの例 |
|---|---|---|
| 建築面積 | 60㎡ | 70㎡(10㎡オーバー) |
| 延床面積 | 200㎡ | 250㎡(50㎡オーバー) |
オーバーの原因
既存不適格(法改正が原因)
建築当時は適法だったが、その後の法改正(用途地域の変更、建ぺい率・容積率の引き下げ等)でオーバーになったケースです。建築基準法第3条第2項により、既存不適格建築物として違法ではなく適法に存在が認められています。詳しくは「違法建築物件の売却方法」をご覧ください。
例
- 容積率が200%→150%に変更
- 建ぺい率が60%→50%に変更
違法建築(法令違反が原因)
建築当時から法令に違反しているケース。
例
- 無断で増築した
- 建築確認と異なる建物を建てた
売却相場
以下の価格目安は業界の一般的な取引実績に基づくものです。物件の条件(立地・建物状態・オーバーの原因)により大きく変動するため、実際の売却価格は複数社の査定で確認してください。
既存不適格の場合
| オーバーの程度 | 価格目安(適格物件比) |
|---|---|
| 10%以内 | 85〜95% |
| 10〜20% | 70〜85% |
| 20〜30% | 55〜70% |
| 30%以上 | 40〜55% |
違法建築の場合
| オーバーの程度 | 価格目安(適格物件比) |
|---|---|
| 軽微(是正容易) | 60〜75% |
| 中程度 | 40〜60% |
| 重大(是正困難) | 20〜40% |
既存不適格と違法建築の価格差
同じ程度のオーバーでも、違法建築の方が価格が下がります。既存不適格は「建築当時は合法だった」ため買主の心理的抵抗が少ないのに対し、違法建築は「建築当時から違法だった」ため、行政からの是正指導のリスクがあり、重要事項説明での告知義務も重くなります。金融機関も違法建築への融資には慎重で、買い手の資金調達が難しくなることも価格低下の要因です。
価格に影響する要因
要因1:オーバーの程度
オーバーが大きいほど、価格への影響が大きくなります。
要因2:原因(既存不適格か違法か)
既存不適格より違法建築の方が、価格が下がります。
要因3:建替え時の縮小幅
建替え時にどれだけ縮小するかが影響します。
計算例
現在:延床面積250㎡
建替え後(容積率200%):200㎡
縮小幅:50㎡(20%減)
要因4:住宅ローンの可否
住宅ローンが使えるかどうかは、買い手の範囲に直結します。既存不適格で軽微なオーバーであれば融資を受けられる金融機関もありますが、違法建築や大幅なオーバーの場合は融資が通らないことが多く、現金購入が前提になります。
要因5:建物の状態
建物が老朽化していると、建ぺい率・容積率のオーバーに加えて修繕コストも上乗せされるため、さらに価格が下がります。逆にリフォーム済みで状態が良ければ、オーバーの影響を相殺できることもあります。
要因6:立地
都心部や駅近など需要が高いエリアでは、建ぺい率・容積率オーバーの物件でも買い手がつきやすく、価格が維持される傾向があります。郊外では買い手が限られるため、オーバーの影響がより大きくなります。
売却のポイント
ポイント1:正確な情報の把握
オーバーの程度と原因を正確に把握しましょう。
確認方法
- 建築確認済証・検査済証の確認
- 現況の測量
- 市区町村への確認
ポイント2:既存不適格の証明
既存不適格であれば、「建築当時は適法だった」ことを証明する資料を用意しましょう。建築確認済証・検査済証・法改正の履歴が揃っていれば、買主や金融機関への説明がスムーズです。
ポイント3:検査済証がない場合の対処
建ぺい率・容積率オーバーの物件では、検査済証がないケースが少なくありません。国交省の推計では、1998年以前の建物の約半数が完了検査を受けていないとされています。
検査済証がない場合の対処法は2つあります。
台帳記載事項証明書の取得: 検査済証を紛失した場合(完了検査は受けている場合)は、市区町村の窓口で「台帳記載事項証明書」を取得できます(手数料300円程度)。検査済証の代替書類として使えます。
建築基準法適合状況調査: 完了検査自体を受けていない場合は、国交省のガイドラインに基づく適合状況調査を受ける方法があります。指定確認検査機関に依頼し、現在の建物が建築基準法に適合しているかを調査してもらいます。費用は10〜30万円程度ですが、建物の状況によっては100万円以上になることもあります。
ポイント4:適正な価格設定
オーバーの程度と原因を踏まえた適正価格を設定しましょう。先述の相場テーブルはあくまで目安であり、物件の条件により大きく変動します。必ず複数社から査定を取得してください。
ポイント5:買取業者への相談
一般市場で売れない場合は、建ぺい率・容積率オーバーの物件を扱う買取業者に相談しましょう。
ケース別の対応
ケース1:軽微なオーバー(10%以内)
一般市場での売却が可能な場合があります。
ポイント
- 住宅ローンが使える金融機関を探す
- 既存不適格の証明を用意
- 適正価格で販売
ケース2:中程度のオーバー(10〜30%)
買い手が限られるため、時間をかけるか買取業者を検討。
選択肢
- 時間をかけて一般売却
- 買取業者への売却
- 減築してから売却
ケース3:大幅なオーバー(30%以上)
一般市場での売却は困難。買取業者への売却を検討。
選択肢
- 買取業者への売却
- 解体して土地売却
- 減築してから売却
まとめ
建ぺい率・容積率オーバーの売却相場についてまとめます。
売却相場
- 既存不適格:適格物件の55〜95%程度
- 違法建築:適格物件の20〜75%程度
価格に影響する要因
- オーバーの程度
- 原因(既存不適格か違法か)
- 建替え時の縮小幅
- 住宅ローンの可否
- 建物の状態
- 立地
売却のポイント
- 正確な情報の把握
- 既存不適格の証明
- 検査済証がない場合の対処(台帳記載事項証明書・適合状況調査)
- 適正な価格設定(複数社の査定を比較)
違法増築の具体的なリスクと対処法は「違法増築のリスクと売却方法」、違法建築全般の売却方法は「違法建築物件の売却方法」もご覧ください。違法建築の基本的な仕組みや既存不適格との違いは「違法建築の売却・買取について」で解説しています。


