違法増築がある物件の売却|是正工事は必要?

違法増築がある物件の売却|是正工事は必要?

物件タイプ別 2026.02.08 公開 2026.04.16 更新
#違法増築 #是正工事 #売却

この記事でわかること

Q. 違法増築は是正しないと売却できませんか?
A. 是正しなくても売却自体は可能です。ただし宅地建物取引業法第35条に基づく重要事項説明で違法増築を告知する必要があり、価格は適法物件の30〜85%に下がります。金融機関は違法建築物を担保評価しないため住宅ローンが使えず、買い手は現金購入者や買取業者に限られます。
Q. 違法増築の是正工事にはどれくらい費用がかかりますか?
A. 増築部分の解体は30〜80万円程度、カーポートやサンルームの撤去は10〜30万円程度です。事後的に建築確認申請(建築基準法第6条)を行う場合は、申請・設計費用で25〜60万円程度かかり、現行基準への適合が求められます。
Q. 違法増築がある物件を売却する方法は?
A. 是正してから売却(最も高値)、そのまま売却(価格は下がるが手間なし)、買取業者への売却(確実・スピーディー)の3つの選択肢があります。是正費用と売却価格上昇の差額がプラスになるかで判断します。

違法増築とは

違法増築とは、 建築基準法第6条 に基づく建築確認申請をせずに増築を行った、または申請内容と異なる増築を行った状態です。建築基準法に違反しているため、特定行政庁から 是正命令(法第9条)を受ける可能性があり、命令に従わない場合は 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法第99条)の対象にもなりえます。

よくある違法増築

種類内容
無断増築確認申請なしで増築
申請超過申請より大きく増築
カーポート確認申請なしで設置
サンルーム確認申請なしで設置
物置一定規模以上を無断設置

なぜ違法増築が発生するのか

違法増築が発生する背景には、建築確認申請が不要だという誤解があります。 防火・準防火地域内 では、増築面積にかかわらず建築確認が必要です(法第6条第1項第1号)。また、10㎡を超える増築は全ての地域で確認申請が必要です(同条同項第4号)。カーポートやサンルームも建築面積・延床面積に算入されるため、 建ぺい率(法第53条)や 容積率(法第52条)をオーバーする原因になります。

費用や手間を省くために申請を省略するケース、前の所有者や施工業者が無断で増築していたケースもあります。中古物件を購入した時点で既に違法増築だった場合、現在の所有者に責任はありませんが、売却時には告知義務が発生します。

是正工事は必要?

結論:売却には必須ではないが、影響は大きい

是正工事をしなくても売却は可能ですが、価格や買い手に大きく影響します。

是正工事をするメリット

メリット内容
高く売れる適法物件として売却できる
買い手が増える住宅ローンが使える
告知義務が軽くなる違法建築ではなくなる

是正工事をしないデメリット

デメリット内容
価格が下がる違法建築として評価
買い手が限られるローンが使えない
告知義務がある違法建築と説明必要

是正工事の方法

方法1:増築部分を解体

違法に増築した部分を解体します。

メリット

  • 確実に適法になる
  • 費用が比較的安い

デメリット

  • 住居スペースが減る
  • 使い勝手が悪くなる

方法2:事後申請(追認)

増築部分について事後的に 建築確認申請(建築基準法第6条)を行う方法です。確認済証がないだけで実態が基準に適合している場合に有効です。

条件

  • 増築部分が 現行の建築基準法 に適合すること
  • 建ぺい率(法第53条)・容積率(法第52条)の上限内であること
  • 構造基準(法第20条)を満たすこと

注意

  • 現行基準に適合しない場合は事後申請が認められず、解体が必要
  • 適合させるための改修工事が追加で必要になる場合もある

是正工事の費用

解体の場合

内容費用目安
木造の増築部分解体30〜80万円
カーポート撤去10〜30万円
サンルーム撤去10〜30万円
復旧工事20〜50万円

事後申請の場合

内容費用目安
申請費用5〜10万円
設計費用20〜50万円
改修工事(必要な場合)数十万〜数百万円

売却への影響

価格への影響

状況価格目安(適法物件比)
是正済み95〜100%
軽微な違法増築70〜85%
中程度の違法増築50〜70%
大規模な違法増築30〜50%

住宅ローンへの影響

違法増築があると、住宅ローンが使えなくなります。

理由

  • 金融機関の審査が通らない
  • 担保価値が低い
  • リスクが高いと判断

買い手への影響

買い手が限られます。

買い手になる可能性がある人

  • 現金購入者
  • 投資家
  • 買取業者

売却の選択肢

選択肢1:是正してから売却

是正工事を行い、適法な状態で売却します。

向いているケース

  • 是正費用が安い
  • 時間に余裕がある
  • 高く売りたい

選択肢2:そのまま売却

違法増築のまま売却します。

向いているケース

  • 是正費用が高い
  • 早く売りたい
  • 価格にこだわらない

選択肢3:買取業者への売却

違法建築を扱う買取業者に売却します。

メリット

  • 確実に売却できる
  • スピーディー
  • 手間がかからない

売却時の注意点

注意点1:告知義務

宅地建物取引業法第47条 に基づき、違法増築があることは買主に対して告知する義務があります。故意に告知しなかった場合は、売買契約の取消しや損害賠償請求のリスクがあります。

告知すべき内容

  • 違法増築があること(増築部分の面積・用途)
  • 増築の経緯・時期(わかる範囲で)
  • 是正工事の有無
  • 建ぺい率・容積率のオーバー率

注意点2:重要事項説明

宅地建物取引業法第35条 に基づく重要事項説明書で、建築基準法への適合状況を記載する必要があります。違法増築がある場合はその旨を明記し、買主に対して書面で説明しなければなりません。

注意点3:契約不適合責任

違法増築の存在を知りながら説明しなかった場合、買主から 契約不適合責任( 民法第562条 )を追及される可能性があります。

対策

  • 事前に違法増築の内容を詳細に説明する
  • 売買契約書に違法増築の状態を明記する
  • 価格に反映し、買主が納得した上で契約する

まとめ

違法増築がある物件の売却についてまとめます。

是正工事

  • 必須ではないが、影響は大きい
  • 是正すれば高く売れる
  • 費用対効果を検討

売却の選択肢

  • 是正してから売却
  • そのまま売却
  • 買取業者への売却

注意点

  • 告知義務がある
  • 重要事項説明が必要
  • 契約不適合責任に注意

違法建築の基本的な仕組みや既存不適格との違いは「違法建築の売却・買取について」で解説しています。

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