違法増築がある物件の売却|是正工事は必要?
この記事でわかること
Q. 違法増築は是正しないと売却できませんか?
Q. 違法増築の是正工事にはどれくらい費用がかかりますか?
Q. 違法増築がある物件を売却する方法は?
違法増築とは
違法増築とは、 建築基準法第6条 に基づく建築確認申請をせずに増築を行った、または申請内容と異なる増築を行った状態です。建築基準法に違反しているため、特定行政庁から 是正命令(法第9条)を受ける可能性があり、命令に従わない場合は 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法第99条)の対象にもなりえます。
よくある違法増築
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 無断増築 | 確認申請なしで増築 |
| 申請超過 | 申請より大きく増築 |
| カーポート | 確認申請なしで設置 |
| サンルーム | 確認申請なしで設置 |
| 物置 | 一定規模以上を無断設置 |
なぜ違法増築が発生するのか
違法増築が発生する背景には、建築確認申請が不要だという誤解があります。 防火・準防火地域内 では、増築面積にかかわらず建築確認が必要です(法第6条第1項第1号)。また、10㎡を超える増築は全ての地域で確認申請が必要です(同条同項第4号)。カーポートやサンルームも建築面積・延床面積に算入されるため、 建ぺい率(法第53条)や 容積率(法第52条)をオーバーする原因になります。
費用や手間を省くために申請を省略するケース、前の所有者や施工業者が無断で増築していたケースもあります。中古物件を購入した時点で既に違法増築だった場合、現在の所有者に責任はありませんが、売却時には告知義務が発生します。
是正工事は必要?
結論:売却には必須ではないが、影響は大きい
是正工事をしなくても売却は可能ですが、価格や買い手に大きく影響します。
是正工事をするメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 高く売れる | 適法物件として売却できる |
| 買い手が増える | 住宅ローンが使える |
| 告知義務が軽くなる | 違法建築ではなくなる |
是正工事をしないデメリット
| デメリット | 内容 |
|---|---|
| 価格が下がる | 違法建築として評価 |
| 買い手が限られる | ローンが使えない |
| 告知義務がある | 違法建築と説明必要 |
是正工事の方法
方法1:増築部分を解体
違法に増築した部分を解体します。
メリット
- 確実に適法になる
- 費用が比較的安い
デメリット
- 住居スペースが減る
- 使い勝手が悪くなる
方法2:事後申請(追認)
増築部分について事後的に 建築確認申請(建築基準法第6条)を行う方法です。確認済証がないだけで実態が基準に適合している場合に有効です。
条件
- 増築部分が 現行の建築基準法 に適合すること
- 建ぺい率(法第53条)・容積率(法第52条)の上限内であること
- 構造基準(法第20条)を満たすこと
注意
- 現行基準に適合しない場合は事後申請が認められず、解体が必要
- 適合させるための改修工事が追加で必要になる場合もある
是正工事の費用
解体の場合
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 木造の増築部分解体 | 30〜80万円 |
| カーポート撤去 | 10〜30万円 |
| サンルーム撤去 | 10〜30万円 |
| 復旧工事 | 20〜50万円 |
事後申請の場合
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 申請費用 | 5〜10万円 |
| 設計費用 | 20〜50万円 |
| 改修工事(必要な場合) | 数十万〜数百万円 |
売却への影響
価格への影響
| 状況 | 価格目安(適法物件比) |
|---|---|
| 是正済み | 95〜100% |
| 軽微な違法増築 | 70〜85% |
| 中程度の違法増築 | 50〜70% |
| 大規模な違法増築 | 30〜50% |
住宅ローンへの影響
違法増築があると、住宅ローンが使えなくなります。
理由
- 金融機関の審査が通らない
- 担保価値が低い
- リスクが高いと判断
買い手への影響
買い手が限られます。
買い手になる可能性がある人
- 現金購入者
- 投資家
- 買取業者
売却の選択肢
選択肢1:是正してから売却
是正工事を行い、適法な状態で売却します。
向いているケース
- 是正費用が安い
- 時間に余裕がある
- 高く売りたい
選択肢2:そのまま売却
違法増築のまま売却します。
向いているケース
- 是正費用が高い
- 早く売りたい
- 価格にこだわらない
選択肢3:買取業者への売却
違法建築を扱う買取業者に売却します。
メリット
- 確実に売却できる
- スピーディー
- 手間がかからない
売却時の注意点
注意点1:告知義務
宅地建物取引業法第47条 に基づき、違法増築があることは買主に対して告知する義務があります。故意に告知しなかった場合は、売買契約の取消しや損害賠償請求のリスクがあります。
告知すべき内容
- 違法増築があること(増築部分の面積・用途)
- 増築の経緯・時期(わかる範囲で)
- 是正工事の有無
- 建ぺい率・容積率のオーバー率
注意点2:重要事項説明
宅地建物取引業法第35条 に基づく重要事項説明書で、建築基準法への適合状況を記載する必要があります。違法増築がある場合はその旨を明記し、買主に対して書面で説明しなければなりません。
注意点3:契約不適合責任
違法増築の存在を知りながら説明しなかった場合、買主から 契約不適合責任( 民法第562条 )を追及される可能性があります。
対策
- 事前に違法増築の内容を詳細に説明する
- 売買契約書に違法増築の状態を明記する
- 価格に反映し、買主が納得した上で契約する
まとめ
違法増築がある物件の売却についてまとめます。
是正工事
- 必須ではないが、影響は大きい
- 是正すれば高く売れる
- 費用対効果を検討
売却の選択肢
- 是正してから売却
- そのまま売却
- 買取業者への売却
注意点
- 告知義務がある
- 重要事項説明が必要
- 契約不適合責任に注意
違法建築の基本的な仕組みや既存不適格との違いは「違法建築の売却・買取について」で解説しています。


