空き家特措法とは?所有者が知るべき義務と対策

空き家特措法とは?所有者が知るべき義務と対策

物件タイプ別 2026.02.02 公開 2026.04.18 更新
#空き家 #空き家特措法 #法律

この記事でわかること

Q. 空き家特措法で所有者に課される義務は何ですか?
A. 周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理すること、市区町村からの調査に協力すること、指導・勧告を受けた場合に対応することが義務付けられています。
Q. 特定空家に指定されるとどうなりますか?
A. 行政から助言・指導→勧告→命令→行政代執行と段階的に措置が進みます。勧告を受けると住宅用地特例が解除され固定資産税が最大6倍に、最終的には強制解体され費用を請求されることもあります。
Q. 2023年の法改正で何が変わりましたか?
A. 「管理不全空家」という新カテゴリが設けられ、特定空家になる前の段階でも勧告の対象となりました。これにより、住宅用地特例の解除が早期化され、より早い段階での対応が求められるようになりました。

空き家特措法とは

空き家特措法(正式名称:空家等対策の推進に関する特別措置法、平成26年法律第127号)は、増加する空き家問題に対応するために2015年(平成27年)5月26日に全面施行された法律です。条文全文はe-Gov法令検索で確認できます。

法律の目的

法律の目的は、第1条に以下のように定められています。

  • 空家等の適正管理の促進(周辺の生活環境の保全)
  • 危険な特定空家等への対応(除却・修繕等の措置)
  • 空家等の利活用の推進

2023年の改正

2023年(令和5年)12月13日に改正法(令和5年法律第50号)が施行され、規制が強化されました(国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律について」)。

主な改正点

  • 「管理不全空家等」制度の新設(第13条)
  • 特定空家になる前の段階から勧告・指導が可能に
  • 勧告を受けた管理不全空家等も住宅用地特例の対象外に(固定資産税の特例解除が早期化)
  • 空家等活用促進区域の創設

空き家所有者の義務

法律で定められた義務

空き家特措法第5条は、所有者等に「周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めなければならない」と定めています。改正後は、活用や除却等の努力義務も追加されました。

義務根拠条文内容
適切な管理の努力義務第5条周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう管理
情報提供への協力第10条市区町村からの調査(立入調査を含む)に協力
指導・勧告・命令への対応第22条段階的措置に応じた改善対応

管理責任

空き家の所有者には、以下のような管理責任があります。

建物の維持管理

  • 倒壊・破損の防止
  • 屋根・外壁の修繕
  • 雨漏りの防止

敷地の管理

  • 草刈り・樹木の剪定
  • ゴミの撤去
  • 害虫・害獣対策

防犯対策

  • 不法侵入の防止
  • 放火対策

特定空家と管理不全空家

特定空家等(第2条第2項)

特定空家等の定義は、空家法第2条第2項で次の4つの状態のいずれかに該当する空家とされています。判定基準の詳細は国土交通省「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)に示されています。

状態具体例
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態基礎の沈下、屋根の崩落、外壁の剥落
そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態ゴミの放置、害虫発生、悪臭
適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態雑草繁茂、落書き、破損した看板
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態立木の越境、動物の住みつき

管理不全空家等(2023年改正・第13条新設)

管理不全空家等とは「適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態」にある空家を指します(第13条第1項)。特定空家に至る前の段階で指導・勧告の対象にできるようになりました。

例

  • 窓ガラスが割れたまま放置
  • 雨樋が外れている
  • 軽微な雑草の繁茂

行政からの措置

措置の流れ

調査 → 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行

各段階の説明

特定空家等への措置は空家法第22条に規定されています。

段階根拠条文内容効果
助言・指導第22条第1項改善を促す直接的な罰則なし
勧告第22条第2項改善を強く求める住宅用地特例解除(翌年度から)
命令第22条第3項改善を命じる違反時は50万円以下の過料(第33条)
行政代執行第22条第9項・行政代執行法強制的に除却等費用は所有者に強制徴収

管理不全空家の場合

指導 → 勧告 → 住宅用地特例解除

特定空家ほどではありませんが、勧告を受けると固定資産税が上がります。

特定空家の場合

助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行

最終的には、市区町村が強制的に解体し、費用を所有者に請求することがあります。

固定資産税への影響

住宅用地特例の解除

勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は、地方税法第349条の3の2に基づく住宅用地特例の適用対象から外れます(同条括弧書き・空家法第22条第2項)。

区分面積特例適用時の課税標準特例解除後
小規模住宅用地200㎡以下の部分評価額の1/6評価額どおり(約6倍)
一般住宅用地200㎡超の部分評価額の1/3評価額どおり(約3倍)

増税のタイミング

  • 勧告を受けた翌年の1月1日(賦課期日)から適用
  • 勧告が撤回されれば翌年度から特例が復活する可能性

固定資産税の詳しい計算は「空き家の固定資産税が6倍に?」をご覧ください。

対策方法

対策1:適切な管理を続ける

最も基本的な対策です。

管理のチェックリスト

  • 定期的な建物点検(年2〜4回)
  • 草刈り(年2〜3回)
  • 換気・通水(月1回程度)
  • 郵便物の確認
  • 防犯対策

対策2:管理サービスの利用

遠方で管理が難しい場合は、管理サービスを利用しましょう。

サービス費用目安
外観確認のみ月額3,000〜5,000円
室内点検あり月額5,000〜10,000円
草刈り込み月額10,000〜15,000円

対策3:早めの売却

管理が難しい、または費用対効果が合わない場合は売却を検討します。

売却のメリット

  • 管理責任から解放
  • 固定資産税の負担なし
  • 行政措置のリスク回避
  • 現金化できる

対策4:解体

建物を解体する選択肢もあります。

注意点

  • 解体すると住宅用地特例がなくなる
  • ただし、予測可能なので計画が立てやすい
  • 更地の方が売却しやすい場合も

対策5:利活用

賃貸、民泊、事務所など、活用する方法です。詳しくは「空き家の活用方法」をご覧ください。

条件

  • 建物の状態が良好
  • 需要がある立地
  • 投資に見合うリターン

行政の支援制度

自治体によっては、以下の支援制度があります。

解体費用の補助

自治体例補助内容
東京都(各区)解体費用の一部補助
地方自治体上限50〜100万円程度

その他の支援

  • 耐震診断・改修補助
  • 空き家バンク
  • 移住促進事業
  • 空き家再生等推進事業(国土交通省)

※自治体により異なるため、お住まいの市区町村に確認してください。

よくある質問

Q:相続した空き家も対象?

はい。相続で取得した空き家も同様に対象です。相続登記が未了でも、実質的な所有者に責任があります。

Q:いつから規制が適用される?

2015年の施行時から適用されています。2023年の改正で規制が強化されました。

Q:共有名義の場合は?

共有者全員に管理責任があります。行政からの措置も共有者全員に対して行われます。

Q:すでに勧告を受けている場合は?

早急に改善するか、売却を検討してください。放置すると命令(違反時は50万円以下の過料)、行政代執行(第22条第9項)と進む可能性があります。行政代執行の費用は国税滞納処分の例により強制徴収されます。

まとめ

空き家特措法のポイントをまとめます。

所有者の義務

  • 適切な管理
  • 行政の指導への対応

措置の流れ

  • 助言・指導 → 勧告(特例解除)→ 命令 → 行政代執行

対策

  • 適切な管理を続ける
  • 管理サービスの利用
  • 早めの売却
  • 解体または利活用

空き家の売却全般については「空き家の売却・買取」もあわせてご覧ください。

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