底地を売却する方法|地主が知っておくべき3つの選択肢
この記事でわかること
Q. 底地を売却する方法にはどんな選択肢がありますか?
Q. 底地が売りにくい理由は?
Q. 買取業者への売却価格の目安は?
底地売却が難しい理由
底地(そこち)とは、借地権が設定されている土地の所有権のことです。地主は借地人から地代収入を得ていますが、いざ売却しようとすると「売れない」という壁に直面する方が多くいらっしゃいます。
底地売却が難しい最大の理由は、 借地人がいるため地主自身が土地を利用できない 点にあります。借地借家法第6条により、地主が借地契約の更新を拒絶するには 正当事由 が必要で、地主の自己使用の必要性だけでは認められないケースがほとんどです。
また、底地の収益性も低い傾向にあります。昔からの地代が据え置きのまま現在の相場と大きく乖離しているケースが多く、地代を適正額に増額するには借地借家法第11条に基づく 地代増額請求 を行う必要がありますが、借地人との交渉は容易ではありません。
さらに、一般の買主が底地を購入することはほとんどなく、金融機関も底地を担保として評価しにくいため融資がつかないのが実情です。
しかし、正しい方法を選べば底地は売却可能です。ここでは地主が知っておくべき3つの選択肢をご紹介します。
選択肢1:借地人に売却する
最も高値で売却できる可能性があるのが、 借地人への売却 です。
なぜ借地人が最も高く買ってくれるのか
借地人にとって底地を購入するメリットは非常に大きいです。底地を購入すれば土地と建物の 完全所有権(所有権) を取得でき、毎月の地代支払いから解放されます。建替えも地主の承諾なしで自由に行え(借地借家法第17条の建替え承諾が不要に)、完全所有権として一般市場で売却することも可能になります。
このように、借地人にとっては底地を購入するメリットが大きく、第三者に売却するよりも高値が期待できます。
借地人への売却価格の目安
一般的に、借地人への売却価格は 更地価格の30〜50%程度 とされています。この割合は、国税庁の路線価図に記載されている 借地権割合 を基に算出されます。路線価図では借地権割合がA(90%)〜G(30%)のアルファベットで表示されており、底地の割合は「100% − 借地権割合」で求められます。
たとえば、借地権割合がD(60%)の地域で更地価格が3,000万円の場合、底地の相続税評価額は3,000万円 × 40% = 1,200万円が目安になります。ただし、 実際の売買価格は相続税評価額とは異なり 、借地人との交渉次第で変動します。価格の詳細は「底地の買取相場」をご覧ください。
注意点
借地人に購入意思や資金がなければ成立しません。借地人が高齢で住宅ローンが利用できないケースや、地代が安いため購入の動機が薄いケースも少なくありません。交渉が難航すると関係が悪化するリスクもあるため、不動産会社など第三者を介して打診するのが無難です。複数の借地人がいる場合は、全員との交渉が必要になります。
選択肢2:借地権と同時売却する
借地人と協力して、 底地と借地権を一緒に第三者へ売却 する方法です。買主は完全所有権を取得できるため、一般市場で売りやすく、底地単独で売るよりも高値が期待できます。
売却代金の分配
同時売却した場合、売却代金は底地と借地権の割合で分配するのが一般的です。分配割合は 路線価図の借地権割合 が基準になります。
| 借地権割合 | 底地の取り分 | 借地権者の取り分 |
|---|---|---|
| C(70%) | 30% | 70% |
| D(60%) | 40% | 60% |
| E(50%) | 50% | 50% |
※地域や借地契約の内容、建物の状態、当事者間の合意により変動します。
注意点
同時売却は借地人の協力が不可欠であり、売却タイミングや売出価格、分配割合について双方の合意が必要です。借地人との関係が良好でなければ実現は困難で、合意に至るまでに時間がかかることも多いです。
選択肢3:底地買取業者に売却する
底地を専門に買い取る業者 に売却する方法です。買取業者は底地を購入した後、借地人への売却交渉や、借地権の買い取り、地代の適正化交渉(借地借家法第11条に基づく地代増額請求)などを行い、収益化します。
買取業者を使うメリット
買取なので売却が確実で、最短1〜2週間で現金化できます。借地人との交渉も不要で、複雑な権利関係(多数の借地人、古い借地契約等)でも対応してもらえます。
買取価格の目安
買取業者への売却価格は、一般的に 更地価格の10〜15%程度 です。借地人への売却(30〜50%)や同時売却と比べると低くなりますが、確実性と手軽さを重視する場合には最も合理的な選択肢です。
こんな方におすすめ
借地人との関係が悪く交渉を避けたい方、遠方に住んでいて底地の管理が難しい方、相続で底地を取得したが対応に困っている方、早く現金化したい方に向いています。
どの方法を選ぶべきか
それぞれの方法の比較表です。
| 項目 | 借地人へ売却 | 同時売却 | 買取業者へ売却 |
|---|---|---|---|
| 売却価格 | ◎ 高い | ○ やや高い | △ 低い |
| 確実性 | △ 不確実 | △ 不確実 | ◎ 確実 |
| スピード | △ 遅い | △ 遅い | ◎ 速い |
| 手間 | △ かかる | △ かかる | ◎ かからない |
結論として、まずは借地人への売却を打診し、難しければ買取業者への売却を検討するのが現実的な流れです。
まとめ
底地の売却は、借地借家法に基づく借地人の権利が強いため、一般的な不動産売却とは異なる特殊なノウハウが必要です。
まずは借地人への売却を検討しましょう。借地人にとって底地の購入は完全所有権の取得につながるため、更地価格の30〜50%程度と最も高い価格が期待できます。借地人への売却が難しい場合は、借地権との同時売却や、買取業者への売却(更地価格の10〜15%)を検討してください。
どの方法が最適かは、借地人との関係性や売却の緊急度によって異なります。底地の基本的な仕組みや価格の考え方は「底地の売却・買取について」で解説しています。


