容積率オーバーの建物を売却する方法

容積率オーバーの建物を売却する方法

物件タイプ別 2026.02.11 公開 2026.04.18 更新
#容積率オーバー #売却 #既存不適格

この記事でわかること

Q. 容積率オーバーの建物は売却できますか?
A. はい、売却可能です。既存不適格として売却、減築してから売却、買取業者への売却などの方法があります。ただし価格は10〜50%程度下がります。
Q. 容積率オーバーだと住宅ローンは使えますか?
A. 使いにくくなります。軽微なオーバー(10%程度以内)や検査済証がある既存不適格、フラット35の条件を満たす場合は利用できる可能性があります。
Q. 容積率オーバーの原因が既存不適格か違法建築かはどう確認しますか?
A. 建築確認済証、検査済証、建築計画概要書を確認します。建築当時の容積率と現在の容積率を比較し、法改正が原因なら既存不適格、最初から違反なら違法建築です。

容積率オーバーとは

容積率オーバーとは、建物の延床面積が敷地の容積率の上限を超えている状態です。容積率の定義と上限は建築基準法第52条に定められています(e-Gov法令検索「建築基準法」)。

容積率の計算

容積率 = 延床面積 ÷ 敷地面積 × 100

例

  • 敷地面積:100㎡
  • 延床面積:200㎡
  • 容積率:200%

上限の決まり方

容積率の上限は、用途地域ごとに都市計画で指定される「指定容積率」と、前面道路幅員が12m未満の場合に適用される「基準容積率」のいずれか小さい方が適用されます(建築基準法第52条第2項)。

基準容積率の係数

  • 住居系用途地域: 前面道路幅員(m)× 0.4(特定行政庁指定で0.6)
  • 商業系・工業系: 前面道路幅員(m)× 0.6(特定行政庁指定で0.4または0.8)

オーバーの原因

原因分類法的扱い
建築当時は適法だったが法改正・用途地域変更で不適合既存不適格建築基準法第3条第2項により適用除外(是正義務なし)
無断で増築した違法建築第9条の是正命令の対象
建築確認と異なる建築をした違法建築同上

売却への影響

価格への影響

容積率オーバーは、売却価格に大きく影響します。下表は市場実態に基づく一般的な目安です。立地・建物状態・住宅ローン可否によって変動します。

オーバーの程度価格への影響
10%以内5〜15%減
10〜30%15〜30%減
30%以上30〜50%減

住宅ローンへの影響

容積率オーバーの物件は、住宅ローンが使いにくくなります。

審査が厳しくなる理由

  • 担保価値が低い
  • 将来の売却が不安
  • 建替え時に縮小する

ローンが使えるケース

  • 軽微なオーバー(10%程度以内)
  • 既存不適格で検査済証がある
  • フラット35の条件を満たす

買い手への影響

買い手が限られます。

買い手になりにくい人

  • 住宅ローンを使いたい人
  • 将来の建替えを考えている人
  • リスクを避けたい人

買い手になる可能性がある人

  • 現金購入できる人
  • 投資目的の人
  • リフォームして使う人
  • 買取業者

売却方法

方法1:既存不適格として売却

容積率オーバーでも、そのまま売却できます。

ポイント

  • 既存不適格であることを証明
  • 検査済証があると有利
  • 適正な価格設定

方法2:減築してから売却

増築部分等を解体して、容積率内に収める方法です。減築後は建築基準法に基づく建築確認申請(計画変更)と、完了後に土地家屋調査士による建物表題変更登記(不動産登記法第51条、1か月以内)が必要になります。

メリット

  • 適法な状態で売却できる
  • 住宅ローンが使える
  • 高く売れる可能性

デメリット

  • 解体費用・建築士報酬・登記費用がかかる
  • 住居スペースが減る
  • 費用対効果の検討が必要

方法3:買取業者への売却

容積率オーバーを専門に扱う買取業者に売却します。

メリット

  • 確実に売却できる
  • 現況のまま売却
  • スピーディー

売却価格の計算

価格への影響の計算例

物件情報

  • 敷地面積:100㎡
  • 現在の延床面積:250㎡(容積率250%)
  • 現行の容積率上限:200%
  • 建替え後の延床面積:200㎡

価格計算

適格物件の相場:5,000万円
オーバー分の影響:▲20%(▲1,000万円)
売却価格目安:4,000万円

価格に影響する要因

要因高くなる安くなる
オーバーの程度軽微大幅
原因既存不適格違法建築
検査済証ありなし
建物状態良好老朽化
立地需要が高い郊外

注意点

注意点1:既存不適格か違法建築かの確認

売却前に、どちらに該当するか確認しましょう。法的扱い(売却可否・住宅ローン可否・価格)が大きく異なります。

確認方法

  • 建築確認済証の確認(建築基準法第6条)
  • 検査済証の確認(建築基準法第7条第5項)
  • 特定行政庁で建築計画概要書・台帳記載事項証明書を取得

検査済証を紛失している場合は、特定行政庁窓口で「台帳記載事項証明書」を取得することで、交付記録の有無を確認できます。

注意点2:重要事項説明

宅地建物取引業者を介して売却する場合、宅地建物取引業法第35条に基づき、容積率オーバーに関する以下の事項を重要事項説明書に記載・説明する必要があります。説明を怠ると業務停止・免許取消等の監督処分(宅建業法第65条・第66条)の対象です。

説明すべき事項

  • 容積率オーバーであること
  • オーバーの程度
  • 既存不適格か違法建築か
  • 建替え時の縮小
  • 住宅ローン利用可否への影響

注意点3:建替え時の縮小

建替え時に床面積が減ることを理解しておきましょう。

例

現在:延床面積250㎡
建替え後:延床面積200㎡
縮小:50㎡(約15坪)

まとめ

容積率オーバーの建物売却についてまとめます。

売却への影響

  • 価格が下がる(10〜50%減)
  • 住宅ローンが使いにくい
  • 買い手が限られる

売却方法

  • 既存不適格として売却
  • 減築してから売却
  • 買取業者への売却

注意点

  • 既存不適格か違法建築かの確認
  • 重要事項説明義務
  • 建替え時の縮小

既存不適格物件の売却全般については「既存不適格の売却・買取」もあわせてご覧ください。

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