既存不適格建築物とは?違法建築との違いと売却方法

既存不適格建築物とは?違法建築との違いと売却方法

物件タイプ別 2026.02.11 公開 2026.04.18 更新
#既存不適格 #違法建築 #売却

この記事でわかること

Q. 既存不適格建築物とは何ですか?
A. 建築当時は適法だったが、その後の法改正(容積率・建ぺい率の変更、日影規制の導入など)により現行基準に適合しなくなった建物です。違法建築とは異なり是正義務はありません。
Q. 既存不適格と違法建築の違いは何ですか?
A. 既存不適格は建築時に適法で法改正が原因、違法建築は建築時から法令違反が原因です。既存不適格は是正義務がなく売却も可能ですが、違法建築は売却が難しくなります。
Q. 既存不適格建築物の売却価格はどれくらい下がりますか?
A. オーバーの程度により異なり、軽微なオーバーは適格物件の80〜95%、中程度は60〜80%、大幅なオーバーは40〜60%程度が目安です。

既存不適格建築物とは

既存不適格建築物とは、建築当時は適法だったが、その後の法改正や都市計画の変更により現行の建築基準に適合しなくなった建物です。法令不遡及の原則に基づき、建築基準法第3条第2項で「法の施行・適用の際に現に存する建築物」には当該規定を適用しないと定められており、現行基準への是正義務は課されません(e-Gov法令検索「建築基準法」)。

具体例

項目建築当時現行基準
容積率200%で建築150%に変更
建ぺい率60%で建築50%に変更
高さ制限制限なしで建築10mに制限
日影規制規制なしで建築規制対象に

違法建築との違い

項目既存不適格違法建築
建築時の適法性適法違法
原因法改正・都市計画変更建築確認違反・無確認増築等
根拠建築基準法第3条第2項(適用除外)建築基準法違反
是正義務なし(原則)あり(第9条の是正命令対象)
売却可能事実上困難

なぜ既存不適格になるのか

法改正の例

  • 用途地域の変更
  • 容積率・建ぺい率の変更
  • 日影規制の導入
  • 耐震基準の強化

既存不適格建築物の特徴

現状のまま使用は可能

既存不適格建築物は、現状のまま使用・売買できます。是正義務はありません。

増改築に制限がある

増改築を行う場合、建築基準法第3条第3項第3号により原則として既存不適格の扱いが失われ、現行基準への適合(遡及適用)が求められます。ただし第86条の7(既存建築物に対する制限の緩和) および建築基準法施行令第137条の2〜第137条の12により、一定範囲内の増改築は緩和の対象となります(国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第2版)」)。

ケース別の扱い(概要)

工事内容現行基準への適合
大規模修繕一定範囲内で不要(令第137条の12)
構造関係の増築が基準時延べ面積の1/20以下かつ50㎡以下緩和対象(令第137条の2)
中規模増築(1/20超〜1/2以内)準じる基準に適合が必要
基準時延べ面積の1/2超の増築・建替え全面的に現行基準に適合が必要

住宅ローンが使いにくい

既存不適格建築物は、住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。

理由

  • 担保価値が低い
  • 建替え時のリスク
  • 将来の売却が不安

売却方法

方法1:そのまま売却

既存不適格建築物として売却する方法です。

メリット

  • 手間がかからない
  • 費用がかからない

デメリット

  • 買い手が限られる
  • 価格が下がる傾向

方法2:建替えてから売却

解体して、現行基準に適合した建物を建ててから売却する方法です。

メリット

  • 高く売れる可能性
  • 住宅ローンが使える

デメリット

  • 解体・建築費用がかかる
  • 時間がかかる
  • 建築可能な規模が小さくなる

方法3:買取業者への売却

既存不適格を専門に扱う買取業者に売却する方法です。

メリット

  • 確実に売却できる
  • スピーディー
  • 現況のまま売却可能

売却価格の相場

価格が下がる要因

要因影響度
容積率オーバーの程度大
建替え時の縮小幅大
住宅ローンの可否中
建物の状態中
立地中

価格の目安

下表は市場実態に基づく一般的な目安です。立地・建物状態・住宅ローン可否によって変動するため、実際の査定は個別評価が必要です。

状況価格目安(適格物件比)
軽微なオーバー80〜95%
中程度のオーバー60〜80%
大幅なオーバー40〜60%

住宅ローンの可否

利用できるケース

ケースローンの可否
軽微な既存不適格利用可能な場合あり
適格証明が取得できる利用可能な場合あり
フラット35適合利用可能

利用できないケース

ケース理由
大幅な容積率オーバー担保価値が低い
建築確認が取れない物件適法性に疑義
検査済証がない物件審査が通らない

注意点

注意点1:検査済証の確認

検査済証は建築基準法第7条第5項に基づき、工事完了後の完了検査に合格した場合に建築主事から交付される書面です。既存不適格かどうかを判定する出発点となります。

検査済証がないと

  • 建築確認どおりに完成したかが公的に確認できず、違法建築との区別が難しい
  • 住宅ローン審査で担保評価が下がり利用できない可能性
  • 売却価格が下がる

検査済証を紛失している場合は、特定行政庁で「建築計画概要書」や「台帳記載事項証明書」を取得することで、建築確認済証・検査済証の交付記録を確認できます。

注意点2:建替え時の縮小

建替え時に建築できる規模を確認しましょう。

例

現在:延床面積150㎡(容積率200%)
建替え後:延床面積112.5㎡(容積率150%)
→ 37.5㎡(約10坪)縮小

注意点3:重要事項説明

宅地建物取引業者を介して売却する場合、宅地建物取引業法第35条に基づき、既存不適格である旨(法令上の制限、建築確認・検査済証の有無、建替え時の規模制限等)は重要事項説明書に記載・説明する必要があります。説明を怠ると宅建業者は業務停止・免許取消等の監督処分(宅建業法第65条・第66条)の対象となります。

まとめ

既存不適格建築物についてまとめます。

既存不適格とは

  • 建築当時は適法、法改正で不適合に
  • 違法建築とは異なる
  • 現状のまま使用・売却可能

売却方法

  • そのまま売却
  • 建替えてから売却
  • 買取業者への売却

注意点

  • 検査済証の確認
  • 建替え時の縮小
  • 重要事項説明義務

既存不適格物件の売却全般については「既存不適格の売却・買取」もあわせてご覧ください。

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