地番と住居表示は別物です|「住所」で登記簿は取れない

地番と住居表示は別物です|「住所」で登記簿は取れない

基礎知識 2026.08.25 公開
#地番 #住居表示 #登記簿 #公図 #不動産登記

この記事でわかること

Q. 地番と住居表示は何が違うのですか?
A. 住居表示は建物に付けられた「住所」で、住居表示に関する法律(昭和37年法律第119号)第3条第1項にもとづき市町村が定めます。地番は土地そのものに付けられた番号で、不動産登記法第35条により登記所(法務局)が一筆の土地ごとに付します。前者は建物を訪ねるための番号、後者は土地を特定するための番号で、目的が違うため一致するとは限りません。
Q. 住所が分かれば登記簿は取れますか?
A. 取れないことがあります。登記簿(登記事項証明書)や公図の請求には地番が必要で、住居表示の住所をそのまま伝えても該当する土地を特定できない場合があるためです。地番は権利証(登記済証)や登記識別情報通知、固定資産税の納税通知書、法務局への地番照会、ブルーマップ、登記情報提供サービスの地番検索サービスなどで調べられます。
Q. 一つの家に地番が複数あることはありますか?
A. あります。建物が複数の土地にまたがって建っている場合、住所は一つでも地番は複数になります。逆に一つの土地に複数の建物が建っていれば、地番は一つでも住所は複数になります。登記記録は一筆の土地または一個の建物ごとに作成される(不動産登記法第2条第5号)ため、こうしたずれが生じます。

住居表示と地番は、目的が違う番号です

筆者は売買の重要事項説明の場で、いちばん最初にこの説明をします。それだけ混同されやすく、混同したままだと話が噛み合わなくなるからです。

住居表示は、いわゆる「住所」です。住居表示に関する法律(昭和37年法律第119号)第3条第1項が「市町村は……議会の議決を経て、市街地につき、区域を定め、当該区域における住居表示の方法を定めなければならない」と規定しており、これにもとづいて市町村が定めます。郵便物を届けたり、建物を訪ねたりするための番号です。「〇〇町三丁目5番12号」のように表されますが、この「5番」は街区符号、「12号」は住居番号にあたります(同法第2条第1号の街区方式)。

地番は、土地に付けられた番号です。不動産登記法第35条が「登記所は、法務省令で定めるところにより、地番を付すべき区域……を定め、一筆の土地ごとに地番を付さなければならない」と定めています。ここでいう一筆(いっぴつ)は、登記上の土地の一区画を数える単位です。「〇〇町三丁目1234番5」のように表されます。

前者は建物にたどり着くための番号、後者は土地を特定するための番号です。目的が違うので、一致するとは限りません。むしろ、一致しないことのほうが少なくありません。

なぜ一致しないのか

理由は単純で、土地の区切りと、建物の建ち方が同じではないからです。

一つの家が、複数の土地にまたがって建っていることがあります。この場合、住所は一つですが、地番は複数あります。相続で登記簿を取り寄せたら土地が三筆あった、というのはよくある話です。

逆に、 一つの土地に、複数の家が建っていることもあります。この場合は地番が一つで、住所は複数になります。借地では特にこの形が珍しくなく、一筆の土地に複数の借地人がそれぞれ建物を持っていることがあります。

① 一つの家が、複数の土地にまたがっている5番12号(住所は1つ)1234番11234番21234番31234番4地番は4つ、住所は1つ② 一つの土地に、複数の家が建っている5番12号5番13号1234番5(地番は1つ)地番は1つ、住所は2つ

登記記録は一筆の土地または一個の建物ごとに作成されます(不動産登記法第2条第5号)。土地の区切りと建物の数が食い違えば、それぞれに付く番号の数も食い違うことになります。こうしたずれは制度上ふつうに起こることで、どちらかが間違っているわけではありません。

なお、住居表示が実施されていない地域もあります。その場合は住所として地番がそのまま使われるため、両者が一致します。一致しているのは、むしろ住居表示が入っていないからだと考えたほうが正確です。

実務でどこに効いてくるか

いちばん効くのは、書類を取るときです。

登記事項証明書(登記簿)や公図を法務局で請求するとき、必要なのは地番です。住居表示の住所を伝えても、該当する土地を特定できないことがあります。窓口で「その住所では出せません」と言われて戸惑うのは、たいていこの行き違いです。

意外に思われるかもしれませんが、登記の世界では建物の所在も住所では表しません。建物の表示に関する登記事項は「建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番」と定められており(不動産登記法第44条第1号)、建物すら土地の地番で位置を示します。公図(登記所に備え付けられる地図および地図に準ずる図面)も、各土地の区画を明確にして地番を表示するものとされています(同法第14条第2項・第5項)。

売却の場面でも同じことが起きます。査定を依頼するときに住所だけを伝えると、対象の土地が全部そろっているのか、隣の筆が抜けていないかが分かりません。前面道路の一部が私道として別の地番になっていて、それも一緒に売る必要がある、というケースもあります。

この「私道が別の筆になっている」ことは、重要事項説明書の分量にも表れています。宅地建物取引業法第35条第1項第3号は、建物の賃貸借を除く取引について「私道に関する負担に関する事項」を説明すべき事項として個別に挙げており、道路まわりに独立した記載欄が設けられています。

筆者の実感として、公道だけに接している土地なら、この欄はほとんど埋まりません。持分は何分の何か、通行と掘削の承諾は取れているか、補修費は誰がどう負担するのか——重要事項説明書の道路欄に長い記載が並ぶのは、その道路が私道のときです。裏を返せば、あの分量は私道のために用意されているということになります。

接道の判定でも地番が要ります。敷地がどの道路に何メートル接しているかは公図と測量で見るもので、住所からは出てきません。この点は「接道義務とは」で詳しく扱っています。

自分の土地の地番を調べるには

手元の書類にあることが多いので、まずそちらを探すのが早道です。

権利証(登記済証)や登記識別情報通知、売買契約書、固定資産税の納税通知書に付いてくる課税明細には、地番が記載されています。権利証と登記識別情報通知は別の制度で、平成16年の不動産登記法改正より前に取得した土地なら前者、それ以降なら後者が手元にあるはずです。相続した土地であれば、被相続人あての納税通知書が残っていないか確認してみてください。

書類が見当たらない場合は、法務局に地番を照会できます。各法務局は地番・家屋番号の照会に応じており、電話でも受け付けています(地番を調べる方法はありますか|法務局)。図書館や法務局にある ブルーマップ (ゼンリンが発行する地図帳。住宅地図の上に、法務局備付けの公図の内容を青字で重ねたもの)で対照する方法もあります。オンラインで調べるなら、登記情報提供サービスの地番検索サービスが使えます。

調べる手段は、書類が残っていることが前提です

ここまでの調べ方はいずれも、権利証や納税通知書といった書類が手元にあることを前提にしています。法務局の照会やブルーマップで地番そのものは補えますが、契約の中身——更新料の取り決めや増改築の特約——は、書類が失われると復元できません。

書類が失われた状態から売却を進めるとどうなるかは、「借地契約書を紛失し、地主とも連絡が取れない借地権」で具体的に扱っています。

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