長屋・連棟式建物の売却方法|単独での売却は可能?
この記事でわかること
Q. 長屋・連棟式建物は売却できますか?
Q. 長屋が売れにくい理由は何ですか?
Q. 長屋の売却価格は一戸建てと比べてどうなりますか?
長屋・連棟式建物とは
定義
長屋・連棟式建物とは、複数の住戸が壁を共有して横に連なっている建物です。
種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 長屋 | 複数の住戸が横に連なる |
| テラスハウス | 長屋の一種、庭付き |
| タウンハウス | 敷地が共有の場合あり |
マンションとの法的な違い
長屋は見た目はマンションに似ていますが、法的な位置づけが根本的に異なります。マンションは 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)が適用される「区分所有建物」ですが、長屋は各戸が独立した 「一戸建て」 の扱いです。管理組合や共用部分の概念がなく、建替えや修繕のルールも異なります。
| 項目 | 長屋 | マンション |
|---|---|---|
| 法的区分 | 一戸建て | 区分所有建物(区分所有法) |
| 敷地 | 各戸で単独所有 | 共有(敷地利用権) |
| 共用部分 | なし(壁は共有だが法的には各戸に帰属) | あり(廊下・階段等) |
| 管理組合 | なし | あり(区分所有法第3条) |
| 建替え決議 | 隣接住戸の同意(全体の場合は全戸同意) | 区分所有者の5/4以上(区分所有法第62条) |
長屋が売れにくい理由
理由1:単独での建替えが困難
壁を共有しているため、隣接住戸の同意なしに建替えることは事実上できません。切り離す場合は隣接する壁の補修費用も発生し、切り離し後に 接道義務( 建築基準法第43条 、幅員4m以上の道路に2m以上接道)を満たさなくなれば 再建築不可 になります。
理由2:住宅ローンが使いにくい
長屋は担保評価が低く、多くの金融機関が融資を敬遠します。特に再建築不可の長屋はほぼ融資不可で、買い手が現金購入者に限定されます。
理由3:再建築不可の場合がある
古い長屋は建築当時の接道条件が現行の 建築基準法第42条・第43条 に適合していないケースが多く、再建築不可になっている場合があります。
理由4:権利関係が複雑
敷地の境界が不明確、壁の帰属が不明、敷地の一部が隣接住戸と共有になっているなど、長屋特有の権利関係の問題があります。
理由5:老朽化が進んでいる
現存する長屋の多くは昭和に建てられたもので、 旧耐震基準(1981年5月以前の建築確認)に該当することがほとんどです。耐震性の問題に加え、給排水管の老朽化や外壁の劣化が進んでいることが多く、購入後のリフォーム費用が大きなハードルになります。
売却の選択肢
選択肢1:現況のまま売却
長屋のまま売却する方法です。
メリット
- 費用がかからない
- すぐに売り出せる
デメリット
- 買い手が限られる
- 価格が安くなる
ターゲット
- 投資家
- リノベーション目的の買主
- 価格重視の買主
選択肢2:切り離して売却
隣接住戸と切り離し、独立した建物として売却する方法です。詳しくは「長屋の切り離しと単独売却」をご覧ください。
メリット
- 単独所有の建物になる
- 買い手が広がる
- 高く売れる可能性
デメリット
- 隣接住戸の同意が必要
- 切り離し費用がかかる
- 建築基準法の問題が発生する場合も
選択肢3:全体で売却
長屋全体をまとめて売却する方法です。
メリット
- 土地としての価値が出る
- 開発業者に売却可能
デメリット
- 全住戸の同意が必要
- 調整に時間がかかる
選択肢4:買取業者への売却
長屋を扱う買取業者に売却します。
メリット
- 確実に売却できる
- 現況のまま売却
- 権利調整不要
デメリット
- 価格が安くなる傾向
単独での売却の注意点
注意点1:建築基準法の問題
長屋を切り離すと、以下の建築基準法上の問題が発生する場合があります。
発生しうる問題
- 接道義務(法第43条)を満たさなくなる → 再建築不可に
- 建ぺい率(法第53条)・ 容積率(法第52条)をオーバーする
- 共有壁の切り離しによる構造上の問題(耐力壁の喪失等)
注意点2:隣接住戸との関係
切り離しには隣接住戸の同意が必要です。
必要な同意
- 壁の補修方法
- 費用負担
- 工事の時期
注意点3:再建築不可リスク
切り離し後に再建築不可になる場合があります。
確認事項
- 接道条件
- 敷地の面積
- 建蔽率・容積率
価格相場
価格の目安
長屋の価格は、同条件の一戸建てより安くなる傾向があります。
| 条件 | 価格水準(一戸建て比) |
|---|---|
| 接道良好・状態良好 | 70〜90% |
| 接道不良・状態良好 | 50〜70% |
| 再建築不可 | 40〜60% |
価格に影響する要因
| 要因 | プラス | マイナス |
|---|---|---|
| 接道状況 | 良好 | 不良 |
| 建物の状態 | 良好 | 老朽化 |
| 立地 | 駅近 | 郊外 |
| 権利関係 | 明確 | 複雑 |
| 再建築 | 可能 | 不可 |
売却時の確認事項
確認事項1:接道状況
敷地が道路に接しているか確認します。
確認方法
- 役所で道路台帳を確認
- 現地で実測
確認事項2:権利関係
敷地の権利関係を確認します。
確認事項
- 土地の所有者
- 敷地の範囲
- 共有部分の有無
確認事項3:建物の構造
建物の構造を確認します。
確認事項
- 壁の共有状況
- 基礎の構造
- 屋根の状況
確認事項4:再建築の可否
再建築が可能か確認します。
確認方法
- 役所で確認
- 建築士に相談
まとめ
長屋・連棟式建物の売却についてまとめます。
売れにくい理由
- 単独での建替えが困難
- 住宅ローンが使いにくい
- 再建築不可の場合がある
- 権利関係が複雑
売却の選択肢
- 現況のまま売却
- 切り離して売却
- 全体で売却
- 買取業者への売却
確認事項
- 接道状況
- 権利関係
- 建物の構造
- 再建築の可否
長屋・連棟式住宅の基本的な仕組みや売却の全体像は「長屋・連棟の売却・買取について」で解説しています。


