不整形地・変形地の査定と評価額|売却価格はいくら下がる?
この記事でわかること
Q. 不整形地の固定資産税評価額はどのように計算されますか?
Q. 評価額と売却価格はどのような関係がありますか?
Q. 不整形地の評価額が高すぎる場合はどうすればいいですか?
不整形地の評価
不整形地は、整形地より評価額が低くなります。これは固定資産税と売却価格の両方に影響します。
評価額の種類
| 評価額 | 用途 | 算定者 |
|---|---|---|
| 固定資産税評価額 | 固定資産税の計算 | 市区町村 |
| 相続税評価額 | 相続税・贈与税の計算 | 国税庁方式 |
| 実勢価格(時価) | 売買の参考 | 市場 |
固定資産税評価額
不整形地の評価方法
固定資産税評価では、不整形地は「不整形地補正率」で減額されます。
不整形地補正率
| 地積区分 | かげ地割合10%未満 | 10〜15% | 15〜20% | 20〜25% |
|---|---|---|---|---|
| 500㎡未満 | 0.98 | 0.96 | 0.94 | 0.92 |
| 500〜750㎡ | 0.96 | 0.94 | 0.92 | 0.90 |
| 750㎡以上 | 0.94 | 0.92 | 0.90 | 0.88 |
かげ地割合とは
かげ地割合 = (想定整形地面積 − 実際の面積)÷ 想定整形地面積
計算例
条件
- 実際の面積:80㎡(三角地)
- 想定整形地面積:100㎡
- 整形地の㎡単価:10万円
計算
かげ地割合 = (100 - 80) ÷ 100 = 20%
補正率 = 0.94(地積500㎡未満、かげ地20%)
評価額 = 100㎡ × 10万円 × 0.94 = 940万円
(整形地なら1,000万円)
固定資産税への影響
評価額が下がると、固定資産税も下がります。
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%
計算例
整形地:1,000万円 × 1.4% = 14万円
不整形地:940万円 × 1.4% = 13.16万円
→ 年間約8,400円の差
相続税評価額
評価方法
相続税・贈与税の計算では、国税庁の「財産評価基本通達」に基づいて評価します。不整形地の評価方法は同通達の第20項(不整形地の評価)に定められています。
不整形地補正率(相続税)
| 地区区分 | かげ地割合10%未満 | 10〜15% | 15〜20% | 20〜25% |
|---|---|---|---|---|
| 高度商業地区 | 1.00 | 0.99 | 0.98 | 0.97 |
| 普通商業・住宅地区 | 0.99 | 0.98 | 0.96 | 0.94 |
| 中小工場地区 | 0.98 | 0.96 | 0.94 | 0.92 |
間口狭小・奥行長大の補正
不整形地は、間口狭小補正や奥行長大補正も適用される場合があります。
間口狭小補正率
| 間口 | 補正率 |
|---|---|
| 4m以上 | 1.00 |
| 3〜4m | 0.97 |
| 2〜3m | 0.90 |
売却価格との関係
評価額と売却価格の違い
| 評価額 | 実勢価格との関係 |
|---|---|
| 固定資産税評価額 | 実勢価格の70%程度 |
| 相続税評価額(路線価) | 実勢価格の80%程度 |
| 実勢価格 | 市場での取引価格 |
不整形地の実勢価格
実勢価格(実際に売買される価格)では、評価額以上に減額されることがあります。固定資産税評価の補正率は最大でも12%程度の減額ですが、実勢価格では30〜50%下がることも珍しくありません。
これは評価制度が土地の「形状」だけを補正するのに対し、市場では形状に加えて以下の要因が価格に影響するためです。
- 建築コストが高くなる(変形地に合わせた設計・施工が必要)
- 有効面積が小さくなる(デッドスペースが生まれやすい)
- 買い手の心理的抵抗(「変形地」というだけで敬遠される)
形状別の価格目安
| 形状 | 固定資産税評価の補正 | 実勢価格の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 台形(軽度) | 0.96〜0.98 | 整形地の85〜95% | 建築プランへの影響が小さい |
| L字型 | 0.92〜0.96 | 整形地の70〜85% | 角の部分がデッドスペースになりやすい |
| 三角地 | 0.88〜0.94 | 整形地の50〜70% | 建築可能面積が大幅に制限される |
不整形地の売却方法や高く売るコツは「不整形地・変形地の売却方法」で詳しく解説しています。
評価額を確認する方法
固定資産税評価額
固定資産税評価額は毎年届く納税通知書で確認できます。より詳しい情報が必要な場合は、市区町村の窓口で固定資産評価証明書を取得してください(所有者本人または代理人のみ)。
相続税評価額
相続税評価額は、国税庁が毎年公開する「財産評価基準書 路線価図」をもとに算出します。路線価は国税庁のウェブサイトで無料で閲覧できます。自分で計算が難しい場合は税理士に依頼しましょう。
実勢価格
実勢価格を知るには、不動産会社に査定を依頼するのが確実です。国交省の「不動産情報ライブラリ」で近隣の取引事例を検索することもできます。不整形地の場合、形状の影響が大きいため、同じような形状の取引事例を探すことが重要です。
評価額が高すぎる場合
固定資産税評価額の見直し
評価額が高すぎると感じたら、地方税法第432条に基づき、固定資産評価審査委員会に審査申出ができます。申出は原則として評価替えの年(3年ごと。直近は令和6年度、次回は令和9年度)の納税通知書を受け取ってから3ヶ月以内に行う必要があります。
見直しが認められる可能性があるのは以下のようなケースです。
- 土地の形状が正しく反映されていない(不整形地補正が適用されていない等)
- 実測と公図の面積に差がある
- 同じエリアの類似物件と比較して明らかに高い
不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、市区町村の評価額との乖離を示すことで、審査申出が認められやすくなります。
まとめ
不整形地の評価額についてまとめます。
固定資産税評価
- 不整形地補正率で減額
- かげ地割合で補正率が決まる
- 固定資産税が安くなる傾向
売却価格
- 評価額以上に減額される傾向
- 市場での需要が影響
- 形状による差が大きい
確認方法
- 固定資産税:納税通知書、評価証明書
- 相続税:路線価図
- 実勢価格:不動産会社の査定


